40代の転職で年収は上がる?賃金変動のデータを読む

【この記事でわかること】
・40代の転職で、賃金が増えた人・減った人の割合
・45歳以降で、前年から何が変わったか
・この数字を読むときに押さえたい3つの注意点

「40代で転職したら、年収は上がるのか、それとも下がるのか」。転職を考え始めた40代が、まず気になるのはここではないでしょうか。
私自身も、国税局の職員として16年以上勤めたあと、3人の子どもを抱えながら民間企業への転職を決意しました。そのとき自分に課した条件の一つが「待遇を下げないこと」でした。
体験談だけでは「たまたま」かもしれません。そこで今回は、厚生労働省が2026年8月31日に公表した令和7(2025)年「雇用動向調査」の「転職入職者の賃金変動状況」を、元国税局係長の目線で読み解きます。
📊 40代の転職、賃金は「増えた人」が最も多い
厚生労働省の令和7年雇用動向調査結果の概況では、転職した人に「前職の賃金と比べてどう変わったか」を尋ねています。2025年の1年間では、全体で「増加」が40.8%、「変わらない」が25.5%、「減少」が31.0%でした。
年齢階級別に見ると、40〜44歳は増加44.9%・減少27.4%、45〜49歳は増加41.1%・減少30.1%です。どちらも「増えた人」が「減った人」を上回っています。一方、50〜54歳は増加29.4%・減少42.0%で、順番が逆になります。
| 年齢階級 | 増加 | 変わらない | 減少 | 増加−減少 |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 40.8% | 25.5% | 31.0% | +9.8 |
| 35〜39歳 | 43.5% | 28.1% | 23.9% | +19.6 |
| 40〜44歳 | 44.9% | 24.6% | 27.4% | +17.5 |
| 45〜49歳 | 41.1% | 28.0% | 30.1% | +11.0 |
| 50〜54歳 | 29.4% | 26.7% | 42.0% | −12.6 |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」3 転職入職者の状況・表6。単位は%、「増加−減少」はポイント差です。「計」には賃金変動状況が不詳の人を含むため、3区分の合計は100%になりません。
40代前半は、転職で賃金が増えた人が減った人を17.5ポイント上回っています。
📉 前年と比べると、45歳以降は「増えた人」が減っている
同じ調査の前年(令和6年)と並べてみます。40〜44歳は増加が45.9%から44.9%へ、減少が29.0%から27.4%へと、ほぼ横ばいでした。
動きが大きいのは45歳以降です。45〜49歳は増加が46.4%から41.1%に下がり、減少は23.8%から30.1%に上がりました。50〜54歳は増加が39.0%から29.4%へ、減少が28.2%から42.0%へと動いています。
| 年齢階級 | 区分 | 令和6年 | 令和7年 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| 40〜44歳 | 増加 | 45.9% | 44.9% | −1.0 |
| 40〜44歳 | 減少 | 29.0% | 27.4% | −1.6 |
| 45〜49歳 | 増加 | 46.4% | 41.1% | −5.3 |
| 45〜49歳 | 減少 | 23.8% | 30.1% | +6.3 |
| 50〜54歳 | 増加 | 39.0% | 29.4% | −9.6 |
| 50〜54歳 | 減少 | 28.2% | 42.0% | +13.8 |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」表6(令和6年・令和7年の同じ表から抜粋)。単位は%、「前年差」はポイントです。

この調査は、事業所から無作為に抽出した入職者への回答にもとづく標本調査です。1年分の数字には偶然の振れも含まれるはずで、私は「来年以降も同じ向きかどうか」を見たいと考えています(これは私の見方です)。
🔎 この数字を読むときの3つの注意点
ここまでの数字は、そのまま「自分も上がる」を意味するものではありません。読むときの注意点を3つに分けて整理します。
- 比べているのは「賃金」で、「年収」とは書かれていません。概況は「前職の賃金と比べ」と表記しています。月給・賞与・手当のどれを比べたかといった算定方法は、概況の用語の定義欄では見当たりませんでした(概況を読んだ範囲での確認です)。
- 分かるのは「増えた人の割合」で、「いくら増えたか」ではありません。区分は「増加」「変わらない」「減少」と、「1割以上」「1割未満」の別までです。たとえば40〜44歳の増加44.9%は、1割以上の増加が29.9%、1割未満の増加が15.1%という内訳です。
- 集計されているのは「転職した人」だけです。前職が雇用者で、調査時点で在籍している人が対象で、自営業からの転職は含まれません。転職を見送った人や、探したけれど決まらなかった人の結果は入っていません。
「増えた人が多い」と「自分も増える」は、別の話です。
🧭 雇用形態で比べると、差はもっと大きい
同じ調査には、転職前後の雇用形態別の集計もあります。年齢別の内訳はなく全年齢の数字ですが、転職先の条件を見る材料になります。
| 転職の形 | 増加 | 減少 | 増加−減少 |
|---|---|---|---|
| 一般労働者同士 | 42.0% | 31.5% | +10.5 |
| 一般労働者のうち、雇用期間の定めなしから定めなしへ | 44.5% | 29.0% | +15.5 |
| 雇用期間の定めなしから定めなしへ(全体) | 45.1% | 28.3% | +16.8 |
| 雇用期間の定めありから定めありへ(全体) | 34.9% | 27.9% | +7.0 |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」表7。単位は%、「増加−減少」はポイント差です。就業形態が前職と異なる転職入職者は除いた集計です。
雇用期間の定めなしから定めなしへ移った人は増加45.1%・減少28.3%、定めありから定めありへ移った人は増加34.9%・減少27.9%でした。転職先がどんな雇用形態かは、賃金の動きと無関係ではなさそうです(これは推測です)。

✅ 今日からできる3つのアクション
データを読んだうえで、動き出す前にできることを3つ挙げます。
- 今の賃金を「月給・賞与・手当」に分けて書き出し、求人の提示条件と同じ形で比べられるようにする
- 「ここまで下がるなら動かない」というラインを先に決めて、家族と共有する
- 応募先の雇用形態(期間の定めの有無)と、賃金の内訳を確認する
私の場合は、内示を受けた夜に妻と話し合い、「転職先が決まってから辞める」「待遇を下げない」の2つを条件にしました。条件を先に言葉にしていたので、提示された内容を冷静に比べられたと感じています。
数字は「判断の材料」であって、「答え」ではありません。自分の条件を先に決めておくことが、いちばんの備えです。
✅ この記事のポイント
- 令和7(2025)年の転職入職者のうち、40〜44歳は賃金が「増加」44.9%・「減少」27.4%
- 45〜49歳は増加41.1%・減少30.1%で、前年(46.4%・23.8%)から差が縮んだ
- 50〜54歳は増加29.4%に対し減少42.0%で、減った人が上回る
- 調べているのは「賃金」の変化で、年収や金額の増減そのものではない
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📝 まとめ
令和7(2025)年の調査では、40〜44歳の転職で賃金が増えた人は44.9%、減った人は27.4%でした。45歳以降は前年より差が縮み、50〜54歳では減った人が増えた人を上回っています。ただし、調べているのは「賃金」の増減で、年収の金額そのものではありません。
データは動いた人の結果を教えてくれますが、自分の条件までは決めてくれません。自分の物差しを持ってから動けば、転職は怖いものではなくなります。転職活動は、ノーリスク。まずは踏み出す一歩を。
次回は「雇用保険は週10時間から加入に|2028年10月適用拡大」について解説しています。


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