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勤労学生控除が163万円に緩和|学生バイトの壁を整理

勤労学生控除が163万円に緩和|学生バイトの壁を整理
ミルキー
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【この記事でわかること】
・勤労学生控除とはどんな控除か(3つの要件と控除額)
・令和8年度税制改正で「150万円」から「163万円」に広がった中身
・学生のバイト代にかかわる「いくつもの壁」の整理
・いつから適用され、どんな手続きが必要か

朝日が差し込む静かな砂浜の風景
ライオン
大学生の息子がバイトを増やしたいって。でも「勤労学生控除」って、そもそも何なの?
トラ
働きながら学ぶ学生さん本人のための控除です。2026年分から、給与だけなら年収163万円まで使えるようになりましたよ。

「子どものバイト代、いくらまでなら大丈夫?」――年末が近づくと、家族のあいだでこんな会話が増えますよね。

ところが、ネットで調べると「136万円」「150万円」「159万円」「197万円」と数字がたくさん出てきて、どれが自分の家に関係するのか分からなくなりがちです。

実はこの数字、「学生本人の税金」「親の税金」「親の健康保険」という別々の制度の線が混ざっています。今回はそのうち、学生本人のための勤労学生控除に絞って、令和8年度税制改正で何が変わったのかを整理します。

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📌 勤労学生控除とは?3つの要件と控除額27万円

勤労学生控除は、納税者自身が「勤労学生」であるときに受けられる所得控除です。控除額は27万円で、今回の改正でも変わっていません(国税庁タックスアンサーNo.1175「勤労学生控除」)。

「勤労学生」にあたるかどうかは、その年の12月31日の状況で判断します。国税庁によると、次の3つの要件すべてに当てはまる人が対象です。

💡 勤労学生の3つの要件(すべて必要)

  • 給与所得など、働いて得た所得があること
  • 合計所得金額が89万円以下(令和8年分から)で、かつ働いて得た所得以外の所得が10万円以下であること
  • 高校・大学・高等専門学校など、特定の学校の学生・生徒であること(専修学校や各種学校は一定の課程に限る)

ポイントは、これが「親が受ける控除」ではなく「学生本人が受ける控除」だということ。親の扶養控除とはまったく別の制度です。ここを混同すると、数字の話がかみ合わなくなります。

透きとおったターコイズブルーの海に寄せる波

🔑 令和8年度改正で何が変わった?150万円→163万円

財務省の「令和8年度税制改正の大綱」で、勤労学生の合計所得金額要件を89万円以下(改正前:85万円以下)に引き上げることが決まりました。

あわせて給与所得控除の最低保障額も65万円から74万円に引き上げられたため、給与収入だけの場合の目安は150万円以下から163万円以下に広がっています(国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」令和8年4月)。

項目 改正前 令和8年分から
合計所得金額の要件 85万円以下 89万円以下
給与収入だけの場合の目安 150万円以下 163万円以下
控除額 27万円 27万円(変更なし)
働いた所得以外の所得 10万円以下 10万円以下(変更なし)

出典:国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月)・国税庁No.1175。給与収入の目安は令和8・9年分の給与所得控除に基づく金額です。

国税庁の「令和8年分 年末調整Q&A」でも、年間140万円のアルバイト収入がある大学生の例を挙げ、給与の収入金額が163万円以下なら勤労学生控除(控除額27万円)を受けられると説明しています。

📅 タイムラインで見る

2026年11月まで
毎月の源泉徴収は変更なし
→
2026年12月1日
改正後の要件が施行
→
2026年12月
年末調整で令和8年分に適用
→
令和9年度分
住民税も89万円以下に

住民税についても、同じ大綱で「勤労学生の前年の合計所得金額要件を89万円以下(現行:85万円以下)に引き上げる」とされ、令和9年度分以後の個人住民税から適用されます(財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。

もうひとつの見直しが、専修学校の学生の範囲です。修業期間が1年以上であること等の要件を満たす「専攻科」の学生が対象に加わり、専門課程の要件も「1年の授業時間数が800時間以上」等から「年平均の単位数が31単位以上」等に見直されました(令和8年分以後の所得税に適用。国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」)。

ライオン
じゃあ、息子の年収が163万円を1円でも超えたら、すぐ所得税がかかるってこと?
トラ
そこが誤解されやすいところ。令和8・9年分は給与だけなら178万円まで所得税はかかりません。163万円は「勤労学生控除が使えるライン」なんです。
青空の下の海岸に立つ白い灯台

👀 学生バイトの「壁」を整理|本人の税金と親の控除は別物

令和8・9年分は、給与所得控除の最低保障額が74万円、基礎控除が104万円(合計所得金額489万円以下の場合)に引き上げられています(国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」)。そのため、給与収入だけの人は年収178万円まで所得税がかからない仕組みになりました(詳しくは基礎控除104万円・178万円の壁の記事で解説しています)。

つまり、所得税だけで見れば、163万円を超えたとたんに学生本人に所得税がかかるわけではありません。むしろ家計への影響が大きいのは、次の表の「親の側の壁」です。

年収の目安 関係する制度 そのラインの意味
136万円以下 親の扶養控除(所得税) 親が扶養控除を受けられる上限
150万円未満 親の健康保険の扶養(19歳以上23歳未満) 被扶養者と認められる年間収入の基準
159万円以下 親の特定親族特別控除(19歳以上23歳未満の子) 控除額が満額の63万円になる上限
163万円以下 学生本人の勤労学生控除 本人が27万円の控除を受けられる上限
178万円以下 学生本人の所得税 給与だけなら所得税がかからない上限
197万円超 親の特定親族特別控除(所得税) 控除が受けられなくなる

出典:国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月)(扶養親族・特定親族・勤労学生の所得要件と特定親族特別控除額の表。令和8・9年分の給与収入だけの場合)、日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」(健康保険の扶養)

表を見ると、163万円は「学生本人の控除のライン」であって、親の扶養控除(136万円)や健康保険の扶養(150万円未満)とは別の線だと分かります。どれか1つだけを見て「この金額までなら安心」と判断するのは危険です。

⚠️ 覚えておきたい2つの注意点

  • 健康保険の扶養は税金とは別の制度で、年収の考え方も異なります(詳しくは150万円の壁の記事)
  • 表の給与収入の目安は令和8・9年分のもので、令和10年分以後は基礎控除の特例部分などが変わる予定です

元国税職員として感じるのは、勤労学生控除は「知っている人だけが使っている控除」になりやすいということです。学生本人は税金にあまり関心がなく、親は自分の扶養控除ばかり気にする――その結果、本人が受けられる控除が話題にのぼらないまま年末を迎えてしまいます。

📝 手続きは?年末調整なら申告書に書くだけ

手続き自体はシンプルです。国税庁によると、給与をもらっている学生は、「扶養控除等(異動)申告書」に勤労学生控除に関する事項を書いて勤務先に提出します。確定申告をする場合は、確定申告書に記載して提出します(国税庁No.1175)。

専修学校・各種学校・職業訓練学校の生徒は、学校長等から証明書を受け取って申告書に添付するか、提出時に提示する必要があります(ただし、年末調整の際に控除の適用を受けた給与所得者は、その必要はないとされています)。

ケース 改正後の要件の受け方
12月1日以後に年末調整を受ける 年末調整で改正後の要件(89万円以下)が適用される
最後の給与が11月30日以前だった その年末調整には改正後の控除等が適用されないため、確定申告等が必要

出典:国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月)

アルバイト先から年末調整の書類を渡されたら、学生本人の欄の「勤労学生」にチェックが入っているか、親子で一度確認してみてください。

ライオン
本人の控除と親の控除、2つを分けて考えればいいんだね。12月の年末調整の書類、息子と一緒に見てみる!
トラ
それが一番です。申告書のチェック1つで27万円の控除。親子で税金の話をする、いいきっかけにもなりますね。
朝の穏やかな海と水平線が広がる景色

✅ この記事のポイント

  • 勤労学生控除は学生本人が受ける控除で、控除額は27万円(改正後も同じ)
  • 令和8年分から合計所得金額の要件が85万円以下→89万円以下に。給与だけなら150万円以下→163万円以下
  • 2026年12月の年末調整から適用。住民税は令和9年度分以後に同じ89万円以下へ
  • 163万円は本人の控除のライン。親の扶養控除(136万円)や健康保険の扶養(150万円未満)とは別物
  • 手続きは扶養控除等申告書への記載。専修学校生などは学校の証明書が必要

😊 まとめ|163万円は「本人の控除」のライン

勤労学生控除は、令和8年度税制改正で給与収入だけなら163万円以下まで使えるようになりました。とはいえ、学生のバイト代には親の扶養控除や健康保険の扶養など、別々の「壁」が重なっています。

大切なのは、数字を1つだけ覚えるのではなく、「誰の・どの制度の線なのか」をセットで押さえること。わが家も3人の子どもがいるので、いずれ同じ話を家族でする日が来ると思っています。

自分で学ばないと、だれも教えてくれない――このブログをきっかけに、身近な税金について学ぼうと思っていただけると嬉しいです。

次回は「第3号被保険者とは?縮小の議論と現在地を整理」について解説しています。

ライオントラ

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≫脱≪安定を求めし者
税務署・国税局に通算16年超勤務し、税務調査担当係長等を歴任。相続・贈与・譲渡といった資産税の実務にも精通。現在は民間企業へのキャリアチェンジも経験し、信託関係の事務に従事しています。「お金のことって、自分で学ばないと誰も教えてくれない」——そんな実感から、このブログを始めました。3人の子育てを経験しながら、育休も3回取得。転職・税金・子育てという、30代・40代がリアルに向き合うテーマを、むずかしい言葉を使わず、スキマ時間で読めるブログとしてお届けしています。【保有資格】1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)/宅地建物取引士/一種外務員資格/家族信託専門士
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