相続・登記
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相続登記を自分で行う手順|書類集めと申請書の書き方

相続登記を自分で行う手順|書類集めと申請書の書き方
ミルキー
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【この記事でわかること】
・相続登記を自分で進める5ステップの流れ
・必要書類と入手先(法定相続分・遺産分割・遺言のケース別)
・申請書の書き方と、登録免許税1000分の4の計算例
・提出方法(窓口・郵送・オンライン)と、つまずきやすい注意点

ライオン
相続登記って、自分でもできるの?専門家に頼まないとダメだと思っていたけど…
トラ
できます。法務局は申請書の記載例や手続ガイドを公開していて、書き方の一般的な案内(登記手続案内・事前予約制)も受けられます。ただし書類集めに手間がかかるので、先に全体の流れを押さえるのが近道です。
古い家と草原が広がる穏やかな田舎の風景。相続した実家の登記を考えるイメージ

「親が亡くなったのに、実家の名義が故人のままになっている」「相続登記が義務化されたと聞いて、焦っている」。そんな方が最初につまずくのは、何から手をつければいいのか分からないことではないでしょうか。

司法書士に依頼する方法もありますが、流れと必要書類さえ押さえれば、ご自身で申請することもできます。法務省・法務局が、申請書の記載例や手続ガイドを公開しているからです。

私は元国税局で評価専門官として路線価の評定に携わり、現在は信託実務で遺言執行に関わる書類に日々触れています。ただし、登記申請の代理を専門とするのは司法書士です。この記事では、ご自身で申請する場合の一般的な流れを、法務省・法務局の公式資料で確認できた範囲でまとめます。

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相続登記を自分でやる全体の流れ|5ステップ

法務省の手続ガイド(登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)・令和8年4月版)では、遺産分割協議による相続登記は、通常、次の5ステップで進めると説明されています。

📅 5ステップで見る相続登記

①戸籍など
書類を集める
→
②分け方を決める
遺産分割協議など
→
③申請書を作る
税額の計算も
→
④法務局へ提出
窓口・郵送・オンライン
→
⑤登記完了
登記識別情報を受領

遺言書がある場合は、②の代わりに遺言の内容に従います。法定相続分どおりに登記する場合は、遺産分割協議書は必要ありません(法務局「必要書類とその入手先等」)。

なお、法務局では遺産の分け方や遺産分割協議書の内容についての相談には応じられません(法務省の手続ガイド)。分け方で揉めそうなときは、弁護士などの専門家へ先に相談する流れになります。

期限だけ先に確認しておきましょう。法務省の「相続登記の申請義務化について」(令和8年4月1日更新)では、次のとおり案内されています。

ケース 申請期限
令和6年4月1日以降に、相続で不動産を取得したことを知った 知った日から3年以内
令和6年4月1日より前に相続したが、登記をしていない 令和9年3月31日まで
遺産分割が成立した(上の基本的義務とは別の追加義務) 成立した日から3年以内

正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。遺産分割がまとまらない間に使える「相続人申告登記」で果たせるのは基本的義務のみで、追加義務は果たせません。制度の全体像は相続登記の義務化の解説記事で詳しく整理しています。

必要書類を集める|入手先と有効期限つきで整理

書類集めが、いちばん時間のかかる工程です。法務局が公開している「必要書類とその入手先等」をもとに、まずどのケースでも共通して集める書類を整理します。

誰の書類 書類の名前 入手先と注意点
亡くなった方(被相続人) 出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍 本籍地の市区町村。在籍していた全ての戸籍が必要です。有効期限はありません
亡くなった方(被相続人) 住民票の除票、または戸籍の附票 住所地(除票)・本籍地(附票)の市区町村。登記簿上の住所が戸籍の本籍と異なる場合に必要です
相続人 戸籍謄本(抄本) 本籍地の市区町村。亡くなった方の死亡日以降に発行されたものが必要です
新しく所有者になる相続人 住民票 住所地の市区町村
新しく所有者になる相続人 固定資産課税明細書 毎年4月ごろ市区町村から届きます。申請する日の属する年度のものが必要です

戸籍の証明書は、本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫のものであれば、本籍地以外の市区町村の窓口でも請求できます(コンピュータ化されていない一部の戸籍を除く。法務省の手続ガイド)。請求方法や手数料は、各市区町村のホームページで確認してください。

次に、相続の形によって追加で必要になる書類です。ここを間違えると、窓口で書類の追加を求められます。

相続の形 追加で必要な書類 ひとこと
法定相続分どおり 追加の書類は不要(上の共通書類) 相続人が複数でも、相続人のうち1名が全員分を申請できます
遺産分割協議 遺産分割協議書、協議書に押印した印鑑の印鑑証明書 印鑑証明書に有効期限はありません
遺言書がある 遺言書。法務局で保管された自筆証書遺言は「遺言書情報証明書」 法務局保管以外の自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要です

出典:法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」(遺言の場合は、死亡の事実が分かる被相続人の戸籍で足ります。配偶者・子以外が所有者になる場合は、法定相続人であることが分かる戸除籍謄本等も必要です)

💡 戸籍の束が厚いときは「法定相続情報一覧図」

法務局に戸籍一式と相続関係を表した図を出すと、認証文つきの「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。相続登記では、この写しを戸籍の代わりに提出できます(法務局の記載例の注記)。制度の手続は法務局のページで案内されています。

穏やかな海と水平線から昇る朝日。書類集めから始まる相続登記の一歩を表す風景
ライオン
戸籍って、亡くなった人の分だけ集めればいいの?
トラ
いいえ、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍と、相続人の戸籍の両方が必要です。まず本籍地を確認して、市区町村の窓口で「相続登記に必要」と伝えて請求しましょう。

申請書の書き方と登録免許税の計算

申請書は、法務局のホームページにひな形(様式)があります。ここでは、法務局の記載例(公正証書遺言で子2人が相続する場合)から、書く項目の要点を整理します。

項目 書く内容 注意点
登記の目的・原因 目的は「所有権移転」。原因は「令和○年○月○日相続」 原因の日付は、遺言書を書いた日ではなく、被相続人の戸籍上の死亡日です
相続人 (被相続人 ○○)と、相続する人の住所・氏名・持分 住所と氏名は住民票のとおり正確に書きます。申請人が押印します(認印で可)
添付情報 登記原因証明情報(戸籍など)、住所証明情報(住民票) 住民票はマイナンバー(個人番号)が記載されていないものを提出します
課税価格・登録免許税 課税価格と税額(次の項で計算) 免税になる場合は、税額の代わりに免除の根拠となる法令の条項を書きます
不動産の表示 登記事項証明書のとおり、土地は所在・地番・地目・地積 不動産番号を書けば、所在や地番などの記載は省略できます
申請日・法務局・電話番号 提出する日、管轄の法務局、平日の日中に連絡がつく電話番号 書類に補正が必要なとき、法務局から連絡が入ります

申請人になる相続人は、氏名ふりがな・生年月日・国籍・メールアドレスも記載します(申請人でない相続人は不要)。法務局は、令和8年4月から氏名・住所の変更登記が義務化されたことに伴い、変更を把握した場合にそのメールアドレス宛てに連絡し、本人の了解を得たうえで職権で変更登記を行うと案内しています(記載例の注記)。変更登記の義務化は住所変更登記の義務化の記事で解説しています。

登録免許税の計算は、法務局「登録免許税の計算」によると、次の式です。

登録免許税 = 課税標準(固定資産課税台帳の価格)× 税率(相続は1000分の4)

⚠️ 見る数字を間違えやすい
課税標準になるのは、固定資産課税明細書で「価格」または「評価額」と書かれた金額です。「固定資産税課税標準額」ではありません。

元評価専門官として路線価の評定に携わった立場から言うと、相続税の土地評価で使う路線価は、この登記の税額計算には出てきません。見るのは固定資産課税明細書の「価格」です。

端数の扱いは、課税標準の1,000円未満は切り捨て(1,000円に満たなければ1,000円)、計算した税額の100円未満も切り捨て(1,000円に満たなければ1,000円)です。公式資料に載っている2つの計算例で確かめます。

手順 例1:法務局の記載例(2,000万円の不動産を全部取得) 例2:法務局のガイドブックの例(持分3分の1)
①課税標準を決める 課税価格は 2,000万円 8,238,353円の土地と582,437円の建物を各3分の1で計算し、合計を2,940,263円→1,000円未満切捨てで2,940,000円
②税率をかける 20,000,000円×4/1000=80,000円 2,940,000円×4/1000=11,760円
③100円未満を切り捨てる 端数なし。登録免許税は 80,000円 11,760円→11,700円

出典:例1は法務局「登記申請書 記載例」の課税価格・登録免許税欄、例2は東京ブロック管内法務局「相続登記ガイドブック」の計算例に基づく確認計算です。例2で別に出てくる950,655円の土地は、価額が100万円以下のため登録免許税が課されない扱いとして計算から外されています。

💡 土地の相続登記は、免税になることがあります

法務局の案内(更新日2026年4月1日)では、令和9年3月31日までの間、次の土地の相続登記は登録免許税が免税とされています。

  • 相続で土地を取得した人が、登記をしないまま亡くなった場合の、その人を名義人にするための登記
  • 不動産の価額が100万円以下の土地(令和7年度の税制改正で、全国の土地に拡充)

免税を受けるには、申請書に「租税特別措置法第84条の2の2第1項(または第2項)により非課税」と書く必要があります。記載がないと免税は受けられません。

提出・納付・完了まで|つまずきやすいところ

申請書ができたら、不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。管轄は法務局の「管轄のご案内」で調べられます。提出方法は3つあります。

方法 やり方 注意点
窓口に持参 管轄の法務局の窓口へ、申請書と添付書類を持っていきます 書き方に迷う点は、事前予約制の登記手続案内で一般的な案内を受けられます
郵送 封筒の表に「不動産登記申請書在中」と書き、書留郵便で送ります 完了書類の郵送受領を希望するときは、返信用封筒と郵便切手も同封します
オンライン 「登記・供託オンライン申請システム」で申請します マイナンバーカードの電子証明書とICカードリーダライタが必要です。戸籍などの書面は後から提出し、受付日から2日以内(初日・休日等を除く)に届く必要があります

出典:窓口・郵送は法務省の手続ガイド、オンラインは法務局のオンライン申請の案内(更新日2024年3月29日の記載。戸籍の証明書が電子文書で発行されていないため、相続登記をオンラインだけで完結することはできないとされています。最新の状況は法務局のページで確認してください)。

提出前に見落としやすい点を、手続ガイドの提出前チェックリストなどから拾います。

  • 登録免許税の納付:原則は現金を国(税務署等)に納付して領収証書を貼ります。税額が3万円以下などの場合は、収入印紙でも納付できます(法務局「登録免許税の計算」)。
  • 収入印紙の貼り方:申請書に直接貼らず、別の白紙の台紙に貼ってから申請書と綴じ、間に契印をします。収入印紙そのものには押印しません。
  • 原本の返却:相続関係説明図を一緒に出すと、戸籍謄本などの原本を、登記の調査が終わった後に返してもらえます。
  • 申請書が複数枚のとき:各用紙のつづり目に契印をします。
  • 完了のとき:登記完了証と登記識別情報通知書が交付されます。再発行はできないため、大切に保管してください。窓口で受け取る場合は、申請書に押したのと同じ印鑑が必要です。
秋の光が差し込む静かな森の小道。落ち着いて手続を進めるイメージ

✅ この記事のポイント

  • 流れは「書類集め→分け方を決める→申請書作成→提出→完了」の5ステップ
  • 必要書類は相続の形(法定相続分・遺産分割・遺言)で変わり、法務局の表で入手先と有効期限を確認できる
  • 登録免許税は、固定資産課税明細書の「価格」×1000分の4(端数は切り捨て)
  • 土地の相続登記は、令和9年3月31日まで免税になることがある(申請書への条文記載が必要)
  • 不安な点は、法務局の登記手続案内(事前予約制)や司法書士に相談できる
ライオン
結局、いちばん気をつけるところはどこ?
トラ
3つです。税額の基準は路線価ではなく固定資産税評価額、書類は相続の形で変わること、そして期限は3年以内です。迷ったら法務局の登記手続案内か司法書士に早めに相談しましょう。

まとめ

相続登記は、流れと必要書類さえ分かれば、ご自身で進めることもできる手続です。書類集めと税額の基準(固定資産課税明細書の「価格」)さえ間違えなければ、つまずく場面はぐっと減ります。

自分で学ばないと、だれも教えてくれないのが税金や相続の手続です。このブログをきっかけに、まずは本籍地と固定資産課税明細書を確認するところから、一歩踏み出していただけると嬉しいです。

次回は「小規模企業共済とiDeCo、受け取る順番で変わる退職所得控除」について解説予定です。お楽しみに!

ライオントラ

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税務署・国税局に通算16年超勤務し、税務調査担当係長等を歴任。相続・贈与・譲渡といった資産税の実務にも精通。現在は民間企業へのキャリアチェンジも経験し、信託関係の事務に従事しています。「お金のことって、自分で学ばないと誰も教えてくれない」——そんな実感から、このブログを始めました。3人の子育てを経験しながら、育休も3回取得。転職・税金・子育てという、30代・40代がリアルに向き合うテーマを、むずかしい言葉を使わず、スキマ時間で読めるブログとしてお届けしています。【保有資格】1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)/宅地建物取引士/一種外務員資格/家族信託専門士
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