母子保健のデジタル化とは|乳幼児健診がマイナンバーで変わる

【この記事でわかること】
・「母子保健のデジタル化」で乳幼児健診・母子手帳がどう変わるのか
・マイナンバーカードで健診を受けられる仕組み「Public Medical Hub(PMH)」とは
・令和9年度予算概算要求73億円の中身と、電子版母子健康手帳の全国展開スケジュール

乳幼児健診のたびに母子健康手帳を持って行き、問診票に同じ情報を何度も書いた——そんな経験はありませんか。「里帰り出産をしたら、健診の情報がうまく引き継がれずに困った」という声も少なくありません。
前回の記事で予告していたとおり、こども家庭庁が公表した令和9年度予算概算要求には、こうした手間を解消する「母子保健のデジタル化等の推進」に73億円が計上されています。今回はこの中身を、資料に基づいて解説します。
🔍 母子保健のデジタル化とは?
Public Medical Hub(PMH)とは、自治体と医療機関をつなぐ情報連携基盤のことです。こども家庭庁の資料によると、母子保健DX(デジタルトランスフォーメーション)はこのPMHを活用し、マイナンバーカードや情報連携基盤を使って乳幼児健診等の母子保健事業をデジタル化し、全国展開に向けた導入支援を行うと同時に、里帰り出産時の健診費用等に係る集合契約・請求支払システムを整備することで、自治体・医療機関の業務効率化と住民の利便性向上を図るものです。(出典:こども家庭庁「令和9年度母子保健対策関係予算概算要求の概要」p1)
すでに一部の自治体では、希望自治体を対象に「母子保健デジタル健診実証事業」が動いています。今回の予算は、この実証段階から全国展開の段階へ進めるための予算という位置づけです。
💳 乳幼児健診がマイナンバーカードで変わる仕組み
健診会場や医療機関がPMHへ情報照会する際には、受診者の本人確認に「マイナ資格確認アプリ」や「オンライン資格確認等システム」が使われます。これらの運営主体である医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(以下「機構」)に対し、改修・保守運営にかかる費用を補助する事業が「母子保健事務システム(オンライン資格確認等システム)関係等事業」で、令和9年度概算要求は5億円です(令和7年度補正で創設済みの事業)。(出典:同資料p43)
💡 元税務職員として気になったポイント
マイナンバーカードが絡む制度は、税務でも「連携基盤の改修」という形の予算がよく出てきます。今回のPMHも同じ構図で、制度そのものより先に「つなぐための基盤整備」に予算がつくのが特徴です。使えるようになるのは、基盤側の改修が終わってから、という時間差があることを覚えておくとよいと思います。

📱 電子版母子健康手帳、いつから使える?
電子版母子健康手帳については、令和7年度にガイドラインを策定・発出済みで、令和8年度末から全国展開を推進し、令和9年度以降は速やかに利用自治体の拡大を図る計画です。この全国展開を実現するために、電子カルテ連携によるマイナンバーカードで受診可能な医療機関の拡大や、現場での紙併用・二重入力等の負荷を解消するためのPMHの改修が必要とされています。(出典:同資料p43・p71)
📅 タイムラインで見る
ガイドライン策定・発出
全国展開を推進
利用自治体を拡大
この全国展開の進捗管理や、新たに導入する自治体・医療機関への助言・支援を行う「母子保健デジタル化等支援事業」も令和9年度に新規で13億円計上されています。(出典:同資料p53-54)
🏠 里帰り出産の「あるある」が解消される
里帰り出産では、住所地の自治体と里帰り先の自治体との間で妊産婦の健診情報等が十分に共有されておらず、自治体をまたいだ切れ目のない支援に支障が出たり、関連する事務手続きが煩雑になったりする課題があります。そこで公益社団法人国民健康保険中央会(国保中央会)が、償還払い等の煩雑な手続きを要さず自治体を超えて利用できる集合契約・請求支払システムを整備することになりました。令和8年度にシステム要件定義を行い、令和9年度以降に開発を進める予定で、令和9年度概算要求は54億円です。(出典:同資料p44)
💰 令和9年度予算の内訳はいくら?
「母子保健のデジタル化等の推進」73億円(資料に掲載された合計額)の内訳は、以下の3事業です。ただし、3事業の掲載額を単純に足すと72億円で、資料の合計との1億円の差の内訳は、資料に記載がありません。(出典:こども家庭庁 同資料p1・p43・p44・p53-54)
| 事業名 | 令和9年度概算要求 | 実施主体 |
|---|---|---|
| オンライン資格確認等システム関係等事業 | 5億円 | 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構 |
| 集合契約・請求支払システム関係等事業 | 54億円 | 国民健康保険中央会 |
| 母子保健デジタル化等支援事業(新規) | 13億円 | 国(民間事業者等へ委託) |
| 合計 | 73億円 | - |
⚠️ 73億円に含まれない予算もある
PMHという基盤そのものの整備費(「母子保健に係る情報連携システム(PMH)の整備事業」)は61億円計上されていますが、これはデジタル庁が一括計上する予算であり、上表の73億円とは別枠です。(出典:同資料p71)また、いずれの数値も概算要求段階のものであり、今後の予算編成過程で変更があり得ます。

✅ この記事のポイント
- 母子保健のデジタル化は、自治体と医療機関をつなぐ基盤「Public Medical Hub(PMH)」を軸に進められている
- 電子版母子健康手帳は令和7年度にガイドライン策定済み・令和8年度末から全国展開を推進
- 令和9年度概算要求73億円の内訳は、健診システム改修5億円+里帰り出産システム54億円+導入支援13億円(単純合計は72億円で、資料の合計73億円との差1億円の内訳は資料に記載なし)
- PMH本体の整備費61億円はデジタル庁の別枠予算。いずれも概算要求段階の数値で、今後変更の可能性がある
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🌱 まとめ
母子保健のデジタル化は、マイナンバーカードや情報連携基盤(PMH)を軸に、乳幼児健診の手間や里帰り出産の情報共有の壁を解消しようとする取り組みです。まだ全国展開の途中段階であり、実際にどこまで便利になるかは自治体側の準備次第という面もありますが、自分で学ばないと、だれも教えてくれないからこのブログをきっかけに学ぼうと思っていただけると嬉しいです。


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