法人版事業承継税制とは?特例措置の手続・要件・免除条件

【この記事でわかること】
・特例措置と一般措置がある理由と、使い分けの考え方(資料からわかる範囲)
・法人版事業承継税制の特例措置と一般措置の違い
・会社・後継者・先代経営者の要件と、手続・提出期限
・贈与者が亡くなったとき・後継者が亡くなったときの扱い
・猶予された税金が免除される場合と、打ち切られる場合

法人版事業承継税制は、非上場会社の株式等を後継者が贈与・相続で取得したときの贈与税・相続税を、一定の要件のもとで納税猶予する制度です。個人版との違いを一覧で知りたい方は、先に個人版と法人版の違い一覧をご覧ください。
この記事では、国税庁のパンフレット(令和8年7月)と質疑応答事例、適用要件チェックシートをもとに、法人版の手続の流れ、亡くなったときの扱い、免除される条件を詳しく整理します。
元国税職員として資産税を担当していた立場から見ると、非上場株式の承継は、株価の評価や議決権の割合など、確認すべき点が多い分野です。この制度も、申告書を出して終わりではなく、5年間は毎年の報告が続く点を、最初に押さえておきましょう。
法人版とは?特例措置と一般措置の違い
法人版は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けた非上場会社の株式等を取得した場合に、その贈与税・相続税の納税を猶予し、後継者の死亡等により免除する制度です。制度には「一般措置」と「特例措置」の2つがあり、特例措置は事前の計画策定や適用期限がある一方で、猶予の対象となる株式数の制限の撤廃や、納税猶予割合の引上げ(80%から100%)などがされています(国税庁パンフレット(法人版))。
なぜ「特例措置」と「一般措置」の2つがあるのか
もともとの制度が一般措置で、平成21年度税制改正で創設されました。その後、平成30年度税制改正で特例措置が加わりました。どちらも「納税を猶予する」という基本の仕組みは同じです(国税庁質疑応答事例(法人版)の問1-2)。
財務省の解説は、特例措置について「中小企業の円滑な世代交代を集中的に促進し、生産性向上に資する観点から、平成30年度税制改正において創設された」時限措置だと説明しています(財務省令和8年度税制改正の解説)。つまり特例措置は、期間を区切って優遇を厚くした措置、一般措置は期限の定めがない元の制度、という位置づけです。
どう使い分ける?資料からわかること
| 場面 | 資料に書かれていること |
|---|---|
| 同じ会社の株式について | 特例措置と一般措置のいずれかの適用になる(両方は使えない) |
| 優遇の厚さ | 特例措置のほうが、対象株数(全株式)・納税猶予割合(100%)・後継者の人数(最大3人)・雇用確保要件(弾力化)・事業継続が困難なときの差額免除などで手厚い(下の比較表) |
| 手続と期限 | 特例措置は、特例承継計画を2027年9月30日までに提出し、贈与・相続等を2027年12月31日までに行う必要がある。一般措置は、計画の提出は不要で、適用期限もない(質疑応答事例 問1-2) |
| 一度一般措置を受けたあと | 同じ会社の株式を追加で贈与・相続で取得しても、特例措置は使えず、所要の要件を満たせば一般措置の適用になる。一般措置で3分の2を受けた後に残りの3分の1を取得する場合も、特例措置は使えない(質疑応答事例 問6-1・問6-3) |
| 先に特例措置を受けたあと | 同じ会社の株式を取得しても、一般措置は使えない(質疑応答事例 問6-1の注) |
| 次の後継者への免除対象贈与 | 贈与を受ける次の後継者は、一般措置か特例措置かを改めて選べる(質疑応答事例 問6-2) |
出典:国税庁パンフレット(法人版・令和8年7月)1ページ、質疑応答事例(法人版)問1-2・問6-1・問6-2・問6-3。
どちらを選ぶのが有利かという基準を示した記述や、特例措置の期限に間に合わなかった場合に一般措置を使えるとする記述は、国税庁・財務省の資料にはありません。ただ、上の整理から言えることは、特例措置は手厚い一方で、期限内の計画提出と承継が条件になること、そして一度選ぶと同じ会社では後から切り替えにくいことです。実際の選択は会社の状況による個別の判断になるため、認定経営革新等支援機関(税理士、商工会、商工会議所等)への相談が前提になります。
特例措置と一般措置の比較表
| 比較項目 | 特例措置 | 一般措置 |
|---|---|---|
| 事前の計画策定 | 特例承継計画の提出(2018年4月1日から2027年9月30日まで) | 不要 |
| 適用期限 (贈与・相続等) |
2018年1月1日から2027年12月31日まで | なし |
| 対象株数 | 全株式 | 総株式数の最大3分の2まで |
| 納税猶予割合 | 100% | 贈与:100%/相続:80% |
| 承継パターン | 複数の株主から最大3人の後継者まで | 複数の株主から1人の後継者 |
| 雇用確保要件 | 弾力化されている | 承継後5年間、平均8割の雇用維持が必要 |
| 事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除 | あり | なし |
| 相続時精算課税の適用 | 60歳以上の者から18歳以上の者への贈与 | 60歳以上の者から18歳以上の推定相続人(直系卑属)・孫への贈与 |
出典:国税庁パンフレット(法人版・令和8年7月)1ページ。同じ会社の非上場株式等については、特例措置と一般措置のいずれかの適用になります。特例承継計画の提出期限は2026年に延長されました(財務省令和8年度税制改正の解説)。
💡 「承継期間」とは
原則として、最初に制度の適用を受けた贈与税・相続税の申告期限の翌日から5年を経過する日までの期間(特例経営(贈与)承継期間)をいいます。この5年間は、年次報告書や継続届出書、雇用に関する報告などの管理が毎年続きます(国税庁パンフレット・継続届出書の案内)。
📅 法人版の流れ
特例承継計画を都道府県知事へ
非上場株式等を取得
円滑化法の認定を都道府県知事へ
税務署へ申告書と担保
承継期間は毎年、その後は3年ごとに届出
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会社・後継者・先代経営者それぞれの要件、手続の流れと期限、申告後の年次報告書・継続届出書、猶予が打ち切られる場合、贈与者・後継者が亡くなったときの扱い、猶予された税金が免除される場合、よくある疑問Q&A、申告前に使える「適用要件チェックシート」までを、国税庁のパンフレットと質疑応答事例をもとに整理しています。
購入前に、下記の「有料部分の目次」や「この記事でわかること」を参考にご検討ください。
📖 有料部分の目次(Contents)
- 適用を受けるための要件(会社・後継者・先代経営者)
- 手続の流れと期限
- 申告後に続く手続|年次報告書と継続届出書
- 猶予が続く条件と、納税が必要になる場合(確定事由)
- 贈与者(先代経営者)が亡くなったらどうなる?
- 後継者が亡くなったらどうなる?
- 猶予された税金が免除されるのはどんなとき?
- よくある疑問Q&A
- 申告の前に使う「適用要件チェックシート」
- まとめ:法人版は「○○」の管理がカギ
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