確定申告・所得税
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年末調整で還付金が増える理由|令和8年12月・基礎控除の精算

年末調整で還付金が増える理由|令和8年12月・基礎控除の精算
ミルキー
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【この記事でわかること】
・令和8年12月の年末調整で「還付金がいつもより多い」と言われる理由
・基礎控除・給与所得控除の引き上げで生まれた「178万円の壁」の中身
・19〜22歳の子がいる家庭が気をつけたい「特定親族特別控除」の存在
・年の途中で退職・転勤した人が改正の恩恵を受けるための手続き

穏やかな朝の海と水平線、年末調整の精算をイメージした風景

「年末調整の書類、去年と同じように出しておけば大丈夫」——毎年そう思って提出している方も多いのではないでしょうか。

私は元・国税局の職員として、税務の現場で年末調整の仕組みを見てきました。今年、令和8年12月に行われる年末調整は、例年とは事情が違います。基礎控除や給与所得控除が大きく引き上げられた影響で、思ったより還付金が多くなる方が続出する見込みなのです。

なぜそんなことが起きるのか。国税庁が公表している資料をもとに、仕組みと注意点を整理します。

ライオン
年末調整の書類、今年もいつも通り出しておけばいいんだよね?
トラ
出す書類自体は同じでいいんだけど、今年は「還付金がいつもより多い」人が多いんだ。理由を知らないと得しそこねるかもしれないよ
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なぜ「令和8年12月の年末調整」は還付金が多くなるのか?

結論からいうと、1月から11月までの給料は「改正前の古い基準」で所得税が天引きされ続け、12月の年末調整で初めて「改正後の新しい基準」に一気に切り替わるからです。

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」には、次のように明記されています。

📅 令和8年分の精算の流れ

1〜11月
改正前の基準で天引き
→
12月
年末調整で1年分を新基準に切替
→
差額
が還付される

(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」より)「令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じません。令和8年分の給与等の源泉徴収事務においては、令和8年12月に行う年末調整の際に、上記の引上げ後の基礎控除額及び…の表に基づいて1年間の税額を計算し、改正前の「源泉徴収税額表」によって計算した源泉徴収税額との精算を行います」(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)

つまり、1月から11月まではずっと「多め」に所得税を天引きされている状態が続き、12月にまとめて精算されるイメージです。この改正の施行日は令和8年12月1日で、令和8年分以後の所得税に適用されます(国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」)。

家族が夕暮れの浜辺で過ごすシルエット、子育て世帯の控除拡充をイメージ

還付が増える正体は「178万円の壁」

還付が増える最大の要因は、基礎控除と給与所得控除が令和8・9年分に限って大きく引き上げられたことです。

会社員・パートなど給与収入のみの方の場合、合計所得金額489万円以下(給与収入のおおよその目安で665万円以下)では、次のように変わります。

項目 改正前 令和8・9年分(改正後)
基礎控除 58万円 104万円
給与所得控除の最低保障額 65万円 74万円
課税最低限(給与収入の目安) 160万円 178万円

基礎控除104万円は「本則62万円+令和8・9年分限定の特例加算42万円」、給与所得控除74万円は「本則69万円+特例加算5万円」の合計です(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。この特例加算は令和8年分・9年分だけの時限措置で、令和10年分以後は加算額が段階的に見直される予定です。

なお、合計所得金額が489万円を超えると加算額は小さくなり、655万円を超えると加算はなくなります(原則と例外の詳細はこちらの記事で計算例つきで解説しています)。

灯台と海岸線の道、年末調整の手続きの見通しをイメージした風景

19〜22歳の子がいる家庭は「特定親族特別控除」も要チェック

大学生年代の子ども(19歳以上23歳未満)がアルバイトをしている家庭では、もうひとつ見落としやすい変更があります。それが令和8年分に新設された「特定親族特別控除」です。

これまで、子の年収が103万円(改正後は136万円)を超えると「特定扶養控除」がいきなりゼロになり、世帯の税負担が急に重くなる問題がありました。特定親族特別控除は、子の所得に応じて控除額が63万円から3万円まで段階的に減っていく仕組みで、この急な負担増を和らげます(対象は合計所得62万円超123万円以下、給与収入では136万円超197万円以下。国税庁「No.1177 特定親族特別控除」)。

💡 ポイント
この控除の対象になるかどうかは、19〜22歳の子の「年間の見積収入」で決まります。年末調整の際に配布される「扶養控除等申告書」「特定親族特別控除申告書」に、子どもの今年の収入見込みを正しく記入することが何より大切です。

控除額の段階表や具体的な収入シミュレーションは、以下の記事で詳しく解説しています。

ライオン
会社員なら、会社が計算してくれるから何もしなくても大丈夫ってこと?
トラ
基本はね。ただし「年の途中で会社を辞めた人」は要注意なんだ

年の途中で退職・転勤した人は、確定申告が必要になることも

この改正で気をつけたいのが、令和8年11月30日以前に「居住者として最後の給与」の年末調整を済ませてしまった人です。改正の施行日は12月1日のため、それより前に退職・海外転勤(非居住者化)・死亡などで年末調整を終えている場合、改正後の控除は自動的には反映されません。

国税庁のQ&Aには、次のように説明されています。

⚠️ 該当する可能性がある人
・令和8年中に退職し、その後の年末調整を受けていない人
・令和8年11月30日以前に海外転勤で非居住者になった人
・令和8年11月30日以前に死亡により退職した人
・休業・休職中で令和8年末までに復職していない人
これらに該当し、改正前の基準で年末調整を受けている場合は、確定申告をすることで改正後の控除の適用を受けられます(相続人による更正の請求は令和8年12月1日から令和13年12月1日まで可能)。ただし、源泉徴収税額が「0円」の場合は、確定申告をしても還付される税金はありません。

出典:国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」

私自身、国税局にいた頃、年の途中で転職・退職した方の確定申告を数多く見てきました。多くの方は「年末調整で終わっている」と思い込み、確定申告のチャンスを見逃しがちです。心当たりのある方は、ご自身の源泉徴収票の「摘要」欄や退職時期を一度確認してみることをおすすめします。

✅ この記事のポイント

  • 令和8年12月の年末調整は、1〜11月分の「古い基準」との差額を一気に精算するため、還付金が例年より多くなりやすい
  • 基礎控除104万円+給与所得控除74万円で「178万円の壁」に。ただし令和8・9年分限定の時限措置
  • 19〜22歳の子がいる家庭は「特定親族特別控除」の対象になっていないか確認を
  • 令和8年11月30日以前に年末調整済みで退職・転勤した人は、確定申告をしないと改正の恩恵を受けられない場合がある

まとめ

令和8年分の年末調整は、基礎控除・給与所得控除の引き上げにより、多くの給与所得者にとって「還付金が増える」年になりそうです。ただしその恩恵を確実に受け取るには、勤務先から配布される申告書に、扶養親族の収入見込みなどを正確に記入することが欠かせません。とくに19〜22歳の子がいる家庭や、年の途中で退職・転勤された方は、今回の記事で紹介したポイントを一度チェックしてみてください。

自分で学ばないと、だれも教えてくれない——このブログをきっかけに、身近な税制改正に関心を持っていただけると嬉しいです。

次回は「勤労学生控除、要件が163万円の壁に緩和」について解説予定です。お楽しみに!

ライオントラ

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みるきー
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≫脱≪安定を求めし者
税務署・国税局に通算16年超勤務し、税務調査担当係長等を歴任。相続・贈与・譲渡といった資産税の実務にも精通。現在は民間企業へのキャリアチェンジも経験し、信託関係の事務に従事しています。「お金のことって、自分で学ばないと誰も教えてくれない」——そんな実感から、このブログを始めました。3人の子育てを経験しながら、育休も3回取得。転職・税金・子育てという、30代・40代がリアルに向き合うテーマを、むずかしい言葉を使わず、スキマ時間で読めるブログとしてお届けしています。【保有資格】1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)/宅地建物取引士/一種外務員資格/家族信託専門士
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