相続・登記
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デジタル遺言(保管証書遺言)とは?2026年民法改正で新設

デジタル遺言(保管証書遺言)とは?2026年民法改正で新設
ミルキー
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【この記事でわかること】
・2026年の民法改正で新設される「保管証書遺言」(通称デジタル遺言)とは何か
・パソコンやスマホで遺言を作れるようになる仕組みと注意点
・既存の「自筆証書遺言書保管制度」も一緒にデジタル化される内容
・いつから使えるようになるのか

「自筆証書遺言は全文を手書きしなければならない」——このルール、負担に感じている方は少なくないのではないでしょうか。手が疲れる、長文になると心が折れる、パソコンで作った文章を写すだけでも一苦労。私は現在、信託実務として遺言執行者・遺産整理受任者に携わっていますが、「もっと早く、もっと気軽に遺言を残しておいてくれれば」と感じる場面に何度も出会ってきました。

そんな状況を変える大きな法改正が、2026年6月24日に公布されました。「民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)」です。この記事では、そのうち遺言制度の目玉である「保管証書遺言(通称:デジタル遺言)」の創設と、既存の自筆証書遺言書保管制度のデジタル化について、条文番号まで含めてわかりやすく整理します。

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📱 デジタル遺言(保管証書遺言)とは?

現在、遺言の方式は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類です(民法967条)。今回の改正で、ここに第4の方式として「保管証書遺言」が加わります(改正後の民法968条の2・968条の3)。

最大の特徴は、パソコンやスマートフォンで遺言の本文を作成できる点です。自筆証書遺言のように全文を手書きする必要がなく、印刷したものでもデータのままでも保管を申請できます。「デジタル遺言」という呼び方は法律上の正式名称ではありませんが、報道やメディアではこの通称で広く紹介されています。

⚠️ 注意
「スマホでデータを作って保存しておけば遺言として有効」という意味ではありません。次の章で説明する手続きを経て法務局に保管されて、初めて効力が生じます。作成しただけの段階では、法的な効力を持つ遺言にはなりません。

霧のかかった森の小道と光、これからの手続きを進む道のりのイメージ

📝 手続きの流れ|二段階の方式

保管証書遺言は、次の二段階の手続きを経て初めて成立します。要約や一部の読み上げでは足りず、遺言の全文が対象になる点が特徴です。

段階 内容
①証書の作成・署名 遺言の全文をパソコン等で作成(または書面に記載)し、署名(電子データの場合は電子署名等)を行う
②遺言書保管官の前での全文口述 法務局(遺言書保管所)の遺言書保管官の前で、証書に記載・記録された遺言の全文を口頭で述べる

実務の現場でも、遺言をめぐるトラブルの多くは「これは本当に本人の意思なのか」という点に集約されます。全文の口述を必須にしているのは、パソコンで手軽に作れるようになった分、なりすましや「言わされた遺言」を防ぐための安全装置と考えると理解しやすいはずです。

なお、以下のような特則も設けられています。

  • 財産目録は口述を省略できる:遺言書保管官が財産目録を遺言者に閲覧させる等の措置を講じれば、その部分の口述は不要(民法968条の3第2項)
  • 口がきけない者への配慮:全文の口述に代えて、通訳人の通訳や自書によることができる(民法968条の3第1項)
  • ウェブ会議の利用:遺言書保管官が相当と認めるときは、法務局へ出頭せずウェブ会議での本人確認・口述が可能

📖 根拠条文
民法968条の2、968条の3/法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)7条〜13条・17条〜20条
出典:法務省民事局「民法等の一部を改正する法律」概要(令和8年6月)

🗄️ 既存の「自筆証書遺言書保管制度」もデジタル化される

「自筆証書遺言書保管制度」という、2020年から運用されている制度をご存じでしょうか。詳しい制度内容は別記事の「自筆証書遺言書保管制度とは?公正証書遺言との違いを解説」で解説していますが、この制度も今回の改正でオンライン化が進みます。

⚠️ 混同注意
「保管証書遺言」(前章の新方式)と「自筆証書遺言書保管制度」は別物です。既存の自筆証書遺言書保管制度は、あくまで本文が全文手書きの自筆証書遺言を法務局に預ける制度で、今回の改正でも本文の手書き要件はそのまま残ります。

変わるのは主に手続き面です。

  • 法務局への保管申請、証明書の交付請求などがオンラインで完結できるようになる
  • 本人確認の手続きにウェブ会議が利用できるようになる
  • 指定者通知制度がさらに使いやすくなる

指定者通知制度とは、遺言者があらかじめ指定した人に、死亡後「遺言書が保管されている」ことを法務局が自動的に知らせてくれる仕組みです。実はこの制度、2023年10月の改正で通知できる人数が「1名まで」から「最大3名まで」に拡大された経緯があります。今回の改正でこの仕組み自体がさらに整備され、遺言の存在に誰も気づかないまま遺産分割が進んでしまう事態を防ぐ効果が期待されています。

📖 根拠条文
法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)6条・8条・12条〜14条・16条〜19条
出典:法務省民事局「民法等の一部を改正する法律」概要(令和8年6月)

紅葉したもみじの葉、制度が新しく生まれ変わる季節の変わり目のイメージ
ライオン
じゃあ今すぐスマホで遺言作って法務局に送っちゃえばOKってこと?
トラ
それが、まだできないんだ。保管証書遺言は公布から3年以内、つまり遅くとも2029年6月までに始まる予定だけど、今の時点ではまだ利用できないんだよ。
ライオン
じゃあ今のうちは何もしなくていいの?
トラ
いや、そんなことはないよ。財産と相続人の整理は今からでもできる。制度を待つより先に準備しておいた方が、いざという時にずっと楽になるんだ。

📅 いつから使える?施行時期と注意点

今回紹介した2つの改正(保管証書遺言の創設・自筆証書遺言書保管制度のデジタル化)は、公布日から3年を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。つまり、遅くとも2029年6月23日までには始まる予定ですが、具体的な施行日はまだ決まっていません。

📅 タイムラインで見る

2026年6月24日
法律公布
→
政令で施行日決定
→
遅くとも2029年6月23日
施行・利用開始

また、施行日より前に作成された遺言には、施行前の従来のルールがそのまま適用される経過措置があります。「もう新制度になったから大丈夫」と思い込んで自己流の方法で遺言を作ってしまうと、無効になってしまうおそれがあるため注意しましょう。

穏やかな海に昇る朝日、新しい制度が始まる安心感のイメージ

✅ この記事のポイント

  • 「保管証書遺言」は自筆証書・公正証書・秘密証書に続く第4の遺言方式。パソコン・スマホで作成でき、法務局への保管・全文口述で効力が生じる
  • 既存の自筆証書遺言書保管制度(本文は手書きのまま)も、オンライン申請や指定者通知の拡充でデジタル化される
  • どちらも施行は公布から3年以内(遅くとも2029年6月23日まで)。現時点ではまだ利用できない

📝 まとめ

2026年の民法改正で、遺言はパソコン・スマホでも作成できる時代に近づいています。ただし、それは「手軽になる」ことと引き換えに、本人確認や全文口述といった厳格な手続きが求められるということでもあります。制度が便利になっても、遺言の中身——誰に何を残すか——を考えるのは結局のところ本人にしかできません。

自分で学ばないと、だれも教えてくれないからこのブログをきっかけに学ぼうと思っていただけると嬉しいです。制度の開始を待つ間にも、財産と相続人の整理は今から少しずつ進めておきましょう。

次回は「遺言の押印が不要に|2026年民法改正のポイントを解説」について解説予定です。お楽しみに!

ライオントラ

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みるきー
みるきー
≫脱≪安定を求めし者
税務署・国税局に通算16年超勤務し、税務調査担当係長等を歴任。相続・贈与・譲渡といった資産税の実務にも精通。現在は民間企業へのキャリアチェンジも経験し、信託関係の事務に従事しています。「お金のことって、自分で学ばないと誰も教えてくれない」——そんな実感から、このブログを始めました。3人の子育てを経験しながら、育休も3回取得。転職・税金・子育てという、30代・40代がリアルに向き合うテーマを、むずかしい言葉を使わず、スキマ時間で読めるブログとしてお届けしています。【保有資格】1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)/宅地建物取引士/一種外務員資格/家族信託専門士
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