iDeCo+の届出、2026年4月に国基連へ一本化
【この記事でわかること】
・iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)とはどんな制度か
・2026年4月1日から届出先が「国民年金基金連合会のみ」に一本化される中身
・2024年12月にすでに簡素化されていた部分と、会社が今から備えておくこと
「iDeCo+(イデコプラス)の届出、書類を2か所に出さないといけなくて地味に面倒…」——中小企業の総務担当者から、そんな声を聞くことがあります。厚生労働大臣と国民年金基金連合会(国基連)、両方に同じような書類を届け出る二度手間は、担当者が変わるたびに「あれ、どっちに何を出すんだっけ」と混乱のもとにもなってきました。
この二重届出が、2026年4月1日から解消されます。元国税職員として数々の届出書類と向き合ってきた立場から、今回の改正で実際に何がどう変わるのか、施行日を混同しないよう時系列を整理しながら解説します。
iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)とは?
iDeCo+(イデコプラス)は正式名称を「中小事業主掛金納付制度」といい、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している従業員の掛金に、会社が上乗せして掛金を拠出できる制度です。従業員が自分の口座に積み立てる掛金を、会社が福利厚生として後押しするイメージです。
導入できる会社には、次の2つの要件があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 従業員数 | 厚生年金保険の被保険者数が300人以下 |
| 企業年金の実施状況 | 企業型DC・確定給付企業年金(DB)・厚生年金基金を実施していないこと |
会社が拠出した事業主掛金は全額が損金(個人事業所は必要経費)に算入できるうえ、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額にも含まれません。ゼロから企業年金を作るより導入のハードルが低く、退職金制度を持たない中小企業の福利厚生として使われてきた制度です(国民年金基金連合会「iDeCo+とは」)。
何が変わる?届出先が「国基連のみ」に一本化(2026年4月1日施行)
これまでiDeCo+を実施する事業主は、掛金の拠出を開始するときや変更するときなどに、厚生労働大臣と国民年金基金連合会(国基連)の両方に必要書類を届け出なければなりませんでした。今回の改正は、この二重届出を解消する内容です(厚生労働省「2025年の制度改正」)。
| 項目 | 現行(〜2026年3月) | 改正後(2026年4月1日〜) |
|---|---|---|
| 届出先 | 厚労大臣+国基連の2か所 | 国基連の1か所のみ |
| 厚労大臣への情報伝達 | 事業主が直接届出 | 国基連が書類の写しを送付 |
| 提出部数 | 各書式2部 | 各書式1部 |
提出部数が2部から1部になる点は、国基連の届出書類ページにも明記されています(国民年金基金連合会「規約・届書様式」)。事業主から見れば「送る枚数も、送り先も減る」という、事務負担が二重に軽くなる改正です。
✅ この記事のポイント
- 届出先が「厚労大臣+国基連」から「国基連のみ」に一本化(2026年4月1日施行)
- 厚労大臣への情報共有は国基連が書類の写しを送る形に変わり、事業主の手間ではなくなる
- 提出部数も同じタイミングで2部→1部に削減される
実はもう変わっている部分も|2024年12月の書式改訂
iDeCo+の簡素化は、実は今回が初めてではありません。2024年(令和6年)12月1日、一足先に届出書式そのものが改訂され、次の2点がすでに簡素化されていました。
- 労働組合等の同意書を廃止し、各届出書に統合(開始・変更・終了の届出のたびに別紙の同意書を添付する必要がなくなった)
- 変更届の記載事項を簡素化(変更前の掛金額の記載が不要になり、変更年月日も「年月」までの記載でよくなった)
このときの旧書式(K-301〜K-313)は2025年5月30日受付分までの経過措置付きで、現在はすでに新書式に完全移行しています(社会保険研究所「iDeCo+における届出内容の変更などについて意見募集」2024年10月1日)。「同意書の廃止」と「届出先の一本化」は別の改正・別の施行日なので、混同しないよう時系列で整理しておきましょう。
📅 タイムラインで見る
iDeCo+制度施行
同意書廃止・書式改訂
届出先一本化・1部化
会社は何をすればいい?(対応アクション)
2026年4月1日以降にiDeCo+の開始・変更・終了の届出を行う場合、実務担当者が確認しておきたいことは次の2つです。
- 社内に旧様式(2部提出・厚労大臣宛の控え)の運用手順が残っていないか確認する。マニュアルや社内規程に「2部作成」「厚労大臣にも送付」といった記述があれば、2026年3月末までに更新しておく
- 送付先が国基連1か所になることを、実際に届出を担当する社員に周知する。担当者交代のタイミングと重なると混乱しやすいため、引き継ぎ資料の更新も忘れずに
なお、原則として今回の改正は届出の「手続き」を簡素化するものであり、iDeCo+の掛金額や対象要件(従業員300人以下・企業年金未実施)そのものは変わりません。「手続きが減った分、何か制度自体も変わったのでは」と誤解しないよう注意してください。
まとめ
2026年4月1日、iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)の届出先は「厚生労働大臣+国基連」の2か所から「国基連のみ」に一本化され、提出部数も2部から1部に減ります。これは2024年12月にすでに実施された同意書廃止・記載事項簡素化に続く、2段階目の事務負担軽減です。届出の手間が減るのは歓迎すべき変化ですが、社内のマニュアルや引き継ぎ資料が旧ルールのまま止まっていないか、この機会に一度確認しておくことをおすすめします。自分で学ばないと、だれも教えてくれないからこのブログをきっかけに学ぼうと思っていただけると嬉しいです。
次回は、同じ2025年の年金制度改正パッケージから「在職老齢年金の見直し(支給停止基準額の引き上げ)」について解説予定です。お楽しみに!


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