「成果を評価されない」が転職理由3位に急上昇|元国税職員が語る公務員人事評価のリアル
【この記事でわかること】
・「個人の成果で評価されない」という転職理由が、doda調査で3位に急上昇していること
・国家公務員の人事評価制度は実際どういう仕組みなのか(一次資料ベース)
・「頑張っても評価されにくい」と感じる3つの理由
・元国税職員が民間企業に転職して感じた変化
・自分の成果を「言語化」して伝える今日からできる工夫

「これだけやったのに、なんで評価が変わらないんだろう」。そう感じたことはありませんか。仕事の成果には自信があるのに、給与にも役職にも反映されない。頑張りが空回りしているような、あの独特のもどかしさです。
私自身、税務署・国税局に通算16年超勤務し、税務調査担当係長等を歴任したのち、民間企業へキャリアチェンジした一人です。今回は、doda「転職理由ランキング」で急上昇している「個人の成果で評価されない」という悩みを軸に、公務員の人事評価の実際の仕組みと、転職して感じた変化を、できるだけ正直にお話しします。
「個人の成果で評価されない」が転職理由3位に急上昇
転職サイトdoda「転職理由ランキング【最新版】」(2024年7月〜2025年6月に転職した人を対象)によると、転職理由の上位は次のとおりです。
| 順位 | 転職理由 | 割合 | 前回 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 給与が低い・昇給が見込めない | 36.6% | 1位 |
| 2位 | 労働時間に不満(残業・休日出勤) | 26.3% | 4位 |
| 3位 | 個人の成果で評価されない | 22.8% | 18位・10.9% |
出典:doda「転職理由ランキング【最新版】」(確認日:2026-08-14)
1年で18位から3位へ。これは「たまたま増えた」では説明がつかない変化です。「給料」「労働時間」という分かりやすい不満に加えて、「頑張りが正しく報われているか」という納得感そのものが、転職を左右する時代になってきていると感じます。

公務員の人事評価は、実際どんな仕組みなのか
「公務員は年功序列で、成果はまったく見られない」というイメージを持たれがちですが、これは正確ではありません。ここでは私が実際に勤めていた国家公務員(人事院基準)の制度を、人事院企画法制課の資料にもとづいて解説します(地方公務員は自治体ごとに独自の人事評価制度を設けており、必ずしも同じ仕組みではありません)。次の2つの軸で構成されています。
| 評価軸 | 評価期間 | 見ているもの |
|---|---|---|
| 能力評価 | 年1回(10月〜翌9月) | 職務で発揮した知識・行動力 |
| 業績評価 | 年2回(10月〜3月・4月〜9月) | 目標に対する達成度・成果 |
評価の結果は「卓越して優秀」「非常に優秀」「優良」「良好」「やや不十分」「不十分」という言葉(評語)で示されます(人事院行政リーフレット令和8年度版。令和4年10月の「評語区分の刷新」で、それまでのS・A・B・C・Dという記号中心の表記から切り替わりました)。判定方法自体は絶対評価(他人との比較でなく、決められた基準で判断する方式)が原則です。この結果は、昇給・勤勉手当(ボーナス)・昇任にそのまま反映される仕組みになっています。
| 昇給区分 | 昇給号俸数 | 決定できる割合(中間層の例) |
|---|---|---|
| 区分A | 8号俸以上 | 上位5% |
| 区分B | 6号俸 | 上位20% |
| 区分C(標準) | 4号俸 | – |
| 区分D | 2号俸 | – |
| 区分E | 0号俸(昇給なし) | – |
出典:総務省・人事院企画法制課「人事評価結果の任免及び給与への活用について」(本省課長補佐・係長級の例。確認日:2026-08-14)
勤勉手当(ボーナス)も同様で、業績評価の結果に応じて「成績率」が変わります。令和7年6月期以降は「特に優秀」の成績率上限が標準支給月数の2倍から3倍に引き上げられ、現在は特に優秀で成績率1.2525〜3.1875(人員分布率5%以上)、良好・標準で1.0225と、評価によって支給額に差がつく設計です(人事院行政リーフレット令和8年度版)。制度そのものは、決して「成果を見ない」仕組みではありません。
それでも「評価されにくい」と感じる3つの理由
制度上は成果を見る仕組みがあるのに、なぜ「頑張っても評価されない」という感覚が生まれるのでしょうか。国税職員として現場にいた実感も交えて、3つの理由を整理します。
①絶対評価なのに「枠」で頭打ちになる
評価そのものは絶対評価(基準に対する達成度で判断)でも、昇給に反映する段階では「上位〇%まで」という人員分布率の制約がかかります。どれだけ多くの職員が高い成果を出しても、上位区分に入れる人数には枠があるということです。
②実際の評価はB評価に集中しやすい
評価者による基準のばらつきを避けるため、極端な評価を避ける運用になりやすく、結果として大多数が標準(B評価)付近に集まる傾向があります。「大きく崩れない代わりに、大きく抜きん出てもいない」評価になりやすい構造です。
③昇任・昇格には複数年の継続評価が必要
昇任には、直近2年間の能力評価・業績評価が一定以上であることが求められます。単年でどれだけ良い成果を出しても、それだけで即座に昇任・昇格するわけではありません。「今年頑張った分」が「今すぐ」に返ってくる仕組みではないのです。
元国税職員が民間企業に転職して感じた変化
⚠️ ここから先は、あくまで私自身の転職前後の実感です。民間企業全般の統計データではなく、個人の体験談としてお読みください。
| 項目 | 公務員時代(制度として) | 転職後に感じたこと(私の実感) |
|---|---|---|
| 評価の頻度 | 年1〜2回(能力・業績評価) | 上司との対話がより日常的に感じた |
| 評価が動くまでの時間 | 昇任は直近2年の継続評価が必要 | 成果と評価の距離が近いと感じた |
| 評価の見え方 | 評語(言葉表現)として通知 | 「何がどう評価されたか」を言葉で説明されることが増えた |
もう一つ、転職活動そのものを通じて実感したのが「公務員としての経験を、どう言葉にして伝えるか」の大切さです。同じ仕事の中身でも、言い方ひとつで伝わり方がまったく変わります。私自身が意識するようになった「言い換え」の例を挙げます。
| 公務員時代の業務 | 言い換えの例 |
|---|---|
| 窓口・現場での対応 | 事実と根拠に基づいて、感情的にならず交渉・調整する力 |
| 文書・決裁の作成 | 誰が読んでも誤解のない、論理的な文章を作る力 |
| 決められた手続きの遂行 | ミスなく・期限どおりに物事を進める、リスク管理の意識 |
「公務員の経験は民間で通用しない」と思い込んでいる人ほど、実は棚卸しをすれば使える強みがたくさんあります。まずは自分の業務を、こうして言葉にしてみることから始めてみてください。

今日からできること
「評価されていない気がする」ともやもやしたまま日々を過ごすより、今日からできる小さな一歩があります。
💡 まずは自分の仕事を「棚卸し」してみる
「何を・どう工夫して・どんな結果につながったか」を紙に書き出してみましょう。上記の言い換え表のように、業務そのものではなく「発揮した力」に注目すると、思っている以上に言語化できることが見つかります。
✅ この記事のポイント
- 「個人の成果で評価されない」は、doda調査で前回18位から3位(22.8%)へ急上昇した転職理由
- 公務員の人事評価は「成果を見ない」仕組みではなく、絶対評価・昇給区分・勤勉手当まで制度化されている
- それでも評価されにくく感じるのは、人員分布率の枠・B評価への集中・昇任に必要な継続評価年数という構造的な理由がある
- 転職後は、成果と評価の距離の近さを実感した(あくまで個人の実感)
- まずは自分の業務を「発揮した力」に言い換えて棚卸しすることから始められる
よくある質問
一般論ではなく、税務署・国税局に16年超勤務し、民間企業への転職も経験した立場から、率直にお答えします。
Q. 公務員は本当に年功序列で、成果は見られていないのですか?
いいえ、制度としては能力評価・業績評価にもとづく絶対評価があり、成果を見る仕組み自体は存在します。ただ、人員分布率の制約や、実際の評価がB評価に集中しやすい運用実態から、「頑張りがすぐに反映されている」とは感じにくい構造になっている、というのが実感に近い答えです。
Q. 公務員での経験は、民間企業への転職で本当に評価されますか?
そのままの言葉では伝わりにくいですが、業務内容を「発揮した力」に言い換えることで、十分に評価対象になります。私自身、税務調査で培った交渉力・文書作成力・リスク管理の視点は、転職活動でも実際に評価されました。
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まとめ
「個人の成果で評価されない」というもやもやは、あなただけが感じているものではなく、doda調査でも3位に急上昇している、多くの人が抱える悩みです。制度の仕組みを知ったうえで、自分の成果をきちんと言葉にして伝える。それだけでも、見える景色は変わってきます。転職活動は、ノーリスク。まずは踏み出す一歩を。
次回は、doda転職理由ランキング1位「給与が低い・昇給が見込めない」(36.6%)について解説予定です。お楽しみに!


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