【号外】国税の内示を受けた日、私は辞職を決めた|元国税職員の転職記録
⚠️ この記事はセンシティブな内容を含みます。
「国税の職場マジ最高!」と心から思っている方は、見ないほうが良いかもしれません。読んだ時点で、こちら側のマインドに引き込まれてしまうかもしれないので・・・
この記事を読んでいるあなたは、すでに何かしらの気持ちを持っているはずです。国税の職場にいることに少しでも迷いが生じている方だけに届けたい内容です。少しでも、今のあなたの気持ちが楽になれば、それだけで十分です。
【この記事でわかること】
・国税の「内示」が職員にとってどれほど大きなイベントか
・国家公務員の離職率データと、現場のリアルな体感
・元国税職員が内示の日に辞職を決めた理由と、その後

令和8年の国税の内示の日でした。
国税の「内示」とは何か|外部には伝わらない年に一度の人生イベント
内示というのは、来事務年度の異動先・役職が事前に伝えられる場です。これが外部の方にはなかなか伝わらないのですが、国税の職員にとっては人生を掛けたイベントといっても過言ではありません🔥
一喜一憂するのが、毎年の恒例行事です。「どこに飛ばされるか」「昇格するか」「担当が変わるか」。それだけで数週間、頭の中が占領されます。内示を受けた後の食事の味が変わる、という人だって珍しくありません。これは、外部の人には分からないことです。
さらに内示の前には、毎年のように「風の噂」が飛び交います。「あの人はどこそこへ異動するらしい」といった真偽の分からない情報に振り回され、まだ確定もしていないガセネタに落ち込んでしまう人も少なくありません。それでも、実際の内示を聞いて、ほっと胸をなで下ろす人もいれば、覚悟を決めて次の一歩を踏み出す人もいます。
国家公務員の離職状況をデータで確認|国税専門官の離職率は非公表
「そんなに辞める人がいるの?」と感じる方もいるかもしれません。国税専門官に特化した離職率は、国税庁が公式には公表していません。ただ、国家公務員全体(一般職)の公式データから、全体の傾向は読み取れます。
| 年度 | 在職者数 | 離職者数 | 離職率 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度(2021) | 284,105人 | 21,171人 | 7.4% |
| 令和4年度(2022) | 284,927人 | 21,873人 | 7.7% |
| 令和5年度(2023) | 285,366人 | 19,435人 | 6.8% |
出典:人事院「一般職国家公務員の在職者・離職者数の推移」。定年退職・辞職・その他すべての離職を含みます。国税専門官に限定した数値は非公表です。
全体の離職の多くは定年退職です。自己都合の辞職だけに絞ると、令和3年度ベースで約2.2%(約5,167人)という推計があります(人事院 令和4年度年次報告書)。
注目すべきは若手の傾向です。総合職採用職員の「10年未満退職者数」は平成25年度76人から令和2年度109人へ約43%増加しています。5年未満の退職率は平成25年度採用5.1%から平成28年度採用10.0%へほぼ倍増しています(同報告書)。また30歳未満の離職意向(「数年以内に離職したい」)は男性13.5%・女性11.4%に上ります。
ここまでは人事院が公表する客観的な数字です。ただ、ひとつだけ正直な「体感」をお伝えさせてください。私が現職だったころ、肌感覚では「15%くらいの人が辞めているのでは」と感じるほどでした。もちろんこれはあくまで私個人のイメージで、実際の数字はここまで高くないと信じています。それでも、それくらい辞める人が増えてきたという実感が現場にはありました。安定の代名詞だった国税で、これは決して小さくない問題だと思っています。
※この「15%」は筆者の主観的な体感であり、統計データではありません。客観的な離職率は上の表(令和5年度6.8%・定年含む)をご参照ください。
もうひとつ、私自身の経験からお伝えしたいことがあります。私は在職中、税務大学校の専門研修「評価特別研修」を受け、修了試験で全国トップの「S評価」を取得しました。この研修には、全国から資産税や徴収の専門性を高めたい、勉強熱心な職員が集まります。ところが——私の体感と、その後も連絡を取り合っていた仲間たちの動向を見るかぎり、こうした専門性や向学心の高い人ほど国税を去っていくように感じています。専門性を磨いた人ほど、それを活かせる場所を外に求めていく。これは組織の意図とは逆の、皮肉な現実なのかもしれません。
※これはあくまで私個人の体感と交友範囲での観測であり、公表された統計ではありません。

私が内示の瞬間、辞職を決めた理由
私の話をします。私の場合、内示を受けた瞬間に「辞める」と決めました。
子どもが3人います。「安定した公務員を辞めて民間へ転職する」という選択は、当時の職場の誰も想像しなかったと思います。でも私には、その選択肢しか残っていませんでした。
辞めた最大の理由は、転勤があることです。
住環境が安定しない、先が見通せない。この2つが重なる「恐ろしいコンボ」でした。家庭を持ち、子どもも大きくなってきたタイミングと、自分自身の昇格バランスの問題が重なり、転勤と本気で向き合わざるを得なくなってきました。
職場は「家庭の事情はある程度組みとる」と言います。でも「ある程度」であって「絶対」ではありません。その不確実性が、ずっと頭の片隅にあり続けました。そして、その不安に怯える環境が嫌になりました。
内示を受けた夜、妻とじっくり話し合いました。今の仕事を辞めたいこと、新しい道に進みたいこと。子どもたちにも、分かる分からないは別にして、正直に伝えました。その夜に、正式に決断しました。

転職に際して自分に課した条件は、2つだけです。①転職先が決まってから辞めること、②待遇を下げないこと。このシンプルな基準を持って、転職活動を始めました。国税時代のリアルな話と転職の詳細は、後日有料記事にて公開予定です。乞うご期待!
先延ばしのツケは、必ずあなたに返ってくる
これは私の話でした。あなたに同じことをしてくださいと言いたいわけではありません。ただ、ひとつだけ伝えたいことがあります。
内示を受けて違和感が心にあるなら、「逃げる=考えない」という選択だけは、しないでください。
職場に留まるのが一番楽です。何も変わらない、惰性でいける、「今まで通り」の安心感に陶酔するのは、とても気持ちがいいものです。でも、先延ばしにしてきた選択のツケは、いつか必ずあなたに返ってきます。
もし今、違和感を感じ始めているなら、その気づきを蔑ろにしないでください。その気づきを「物事を変える」「自分が変わる」方向で使ってほしいのです。
「安定」の代償は、見えないところで払っている
安定しているのは、間違いありません。国税という組織の給与・身分保障・福利厚生は、確かなものです。でも、安定を手に入れるには、何かを犠牲にしています。体調面・精神面・家庭のこと。安定を得ることと、何かを失うことは、セットなのだと思います。
私は転職して後悔していません。年収・待遇も、正直に言えば国税のときより良くなりました。「待遇が良くならないなら転職しない」という基準を持って動いたので、内定が出た瞬間の納得感も大きいものでした。
辞める決断をするのは、最終的にあなた自身です。私はそれを「背中を押す」立場でも「引き留める」立場でもありません。ただ、転職した側の一人として、正直なことをお伝えしているだけです。
辞める決断が難しい本当の理由|現場には「辞めた人の情報」がない
辞める決断は、なかなかできません。それは、ある意味で当然のことだと思います。
職場には、辞めた人の情報が届かないからです。
辞めてしまったら、職場を去ります。辞めるまでの思考過程・なぜ辞めたのか・辞めた後どうなったのか。そういった情報は、辞めるときに相談を受けた上司や担当人事しか知り得ません。そして、その情報が現場に戻ってくることは、ほぼありません。
情報がない中での決断は、確かに怖いものです。私も不安でした。でも私は「うまくやっていける自信を確認した上で辞表を提出」しました。内定が出た時点で納得できなければ、転職しなければいいだけです。その段階でも、あなた自身の決断が試されます。
国税で培ったスキルは、民間でも通用する
「民間では通用しないんじゃないか」という不安をお持ちの方へ。これだけは、はっきり言えます。
絶対にそんなことはありません。
国税で身につけた税務・法令・調査・折衝・書類作成・分析の力は、民間でも十分に活かせます。むしろ専門性が高い分だけ、市場での評価は想像より高いことが多いのです。現職の方は、まずそこは自信を持ってください🎵
✅ この記事のポイント
- 内示は、国税職員にとって毎年の一大イベントです。異動や転勤が決まり、人生を大きく左右します
- 離職率は、国家公務員全体で定年退職も含めて年6〜8%ほど。とくに若手(採用5年以内)の早期退職は、この10年で約2倍に増えています
- 辞めた人の情報は、職場に残りません。だから残る人ほど判断材料が少なく、決断が難しいのです
- 国税で培ったスキルは、民間の転職先でもしっかり通用します
使った転職サービス・職務経歴書の書き方・転職の進め方、そして「なぜ辞めたのか」のもっとリアルな理由は、有料記事にまとめました。興味ある現職の方・公務員関係の方は、ぜひ下記からあわせてご覧ください。
📎 あわせて読みたい
転職エージェントの裏側と職務経歴書の書き方|元国税職員の全記録(有料記事)
使った転職サービスの実名・職務経歴書の書き方・エージェントとの距離感・「なぜ辞めたのか」のもっとリアルな理由まで、この記事の続きにあたる内容を1本にまとめています。
🔭 もう一歩ふみこむ
📎 こちらもどうぞ
国税の査察(マルサ)とは?令和7年度は82件・84億円を告発
内示を受けて悩んだ日々の裏で、国税組織にはこんな部門もありました。査察(マルサ)の実際の仕事を数字で見てみます。
まとめ|違和感は、変わるためのサインかもしれない
内示の季節は、国税職員にとって心が揺れる時期です。安定という言葉の裏側で、何かに違和感を抱いている方もいるでしょう。その気持ちを、どうか無視しないでください。辞めるにせよ、残るにせよ、自分の頭で考えて選んだ道であれば、後悔は小さくなります。この記事が、迷っている誰かの気持ちを少しでも軽くできたなら、それだけで十分です。


最後まで読んでくれてありがとう
資料集めやサーバー代など、ブログ作成には費用がかかっています。応援していただいた分は、次の記事づくりに大切に使わせていただきます。またブログに遊びに来てくださいね。
応援する【免責事項】
本記事は筆者個人の体験・見解に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の個人に対する転職・キャリアに関する助言ではありません。記載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本記事を参考にした判断・行動による損害について当サイトは責任を負いかねます。転職・退職に関する個別のご相談は、転職エージェント等の専門サービスをご利用ください。記載内容は2026年6月時点の情報に基づいており、制度改正等により変更となる場合があります。

