確定給付企業年金(DB)とは?企業型DC・iDeCoとの違いをやさしく解説
【この記事でわかること】
・確定給付企業年金(DB)とは何か、根拠法と施行日
・加入できる人・掛金を負担するのは誰か
・給付額はどう決まり、誰が運用リスクを負うのか
・企業型DC・iDeCoとの違いを表で整理

「確定給付企業年金」「DB」という言葉を、会社の退職金・年金の説明資料で見たことはありませんか。似たような言葉に「企業型DC」「iDeCo」もあり、「結局どれがどう違うのか分からない」という声をよく聞きます。
この記事では、元国税局職員の視点から、確定給付企業年金法という根拠法に沿って、DBの基本的な仕組みを整理します。
確定給付企業年金(DB)とは?
確定給付企業年金(DB)は、確定給付企業年金法(平成13年6月15日法律第50号)を根拠法とする企業年金制度です。同法は2002年(平成14年)4月1日に施行されました。「DB」は英語のDefined Benefit(確定給付)の略で、あらかじめ規約で定めた算定方法により給付額が決まっている点が最大の特徴です。
制度の実施主体は事業主または企業年金基金で、確定給付企業年金法(e-Gov法令検索)に基づいて運営されています。
加入できる人・掛金を負担するのは誰か
加入対象者は、実施事業所の厚生年金保険の被保険者(会社員・役員を含む、70歳未満)です。規約により職種・勤続年数などで加入資格を一定範囲に限定することもできますが、不当に差別的な限定は確定給付企業年金法第25条で禁止されています。
掛金の負担については、原則として事業主が全額を負担します(確定給付企業年金法第55条第1項)。労使合意に基づき規約で定めがある場合に限り、加入者(従業員)も掛金の一部を負担することができますが、同法第55条第2項に基づく政令の定めにより、加入者の負担分は事業主負担額の2分の1を超えてはならないとされています。

給付額はどう決まる?運用リスクを負うのは会社
DBの給付額は、規約で定めた算定方法(定額制・給与比例方式・ポイント制等)によりあらかじめ決まります(確定給付企業年金法第32条)。加入者からすると、運用の成果にかかわらず約束された金額が支給されるという安心感があります。
その代わり、運用実績が予定利率を下回り積立不足が生じた場合、企業は不足分を補填するための追加拠出義務を負います。制度終了時に積立金が最低積立基準額を下回れば、事業主が差額を一括拠出しなければなりません(同法第87条)。つまりDBは「会社が運用リスクを引き受ける」仕組みだと理解しておくとわかりやすいです。
企業型DC(企業型確定拠出年金)との違いを比較表で見る
DBと企業型DCは、どちらも会社が用意する企業年金ですが、性格はまったく異なります。表で整理します。
| 項目 | DB(確定給付企業年金) | 企業型DC(企業型確定拠出年金) |
|---|---|---|
| 決まっているもの | 給付額(あらかじめ確定) | 拠出額(給付額は変動) |
| 運用リスクを負う人 | 事業主(会社) | 加入者本人 |
| 掛金の負担 | 原則事業主全額(労使合意で加入者も一部負担可) | 事業主(規約により加入者上乗せも可) |
| 積立不足時の対応 | 事業主に追加拠出義務あり | 追加拠出義務なし(個人の運用結果として反映) |
| 根拠法 | 確定給付企業年金法 | 確定拠出年金法 |
出典:確定給付企業年金法(e-Gov法令検索)/厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
私的年金の中でのDBの位置づけ
日本の年金は「3階建て」の構造になっています。1階は全国民が加入義務を負う国民年金(基礎年金)、2階は会社員・公務員が上乗せ加入する厚生年金、そして3階が今回取り上げたDB・企業型DC・iDeCoなどの私的年金です。3階部分はいずれも任意加入で、公的年金を代替するものではなく、あくまで公的年金に「上乗せ」する制度という位置づけです(厚生労働省「私的年金制度の概要(企業年金、個人年金)」)。
厚生労働省の資料によると、DBの加入者数は2022年時点で約911万人と、企業年金制度の中で最も利用実績があります。事業主数については2015年度末時点で13,661件という統計がありますが、こちらはやや古いデータである点に注意してください。
✅ この記事のポイント
- DBは確定給付企業年金法(2002年4月1日施行)に基づく企業年金で、給付額があらかじめ決まっている
- 掛金は原則事業主が全額負担。加入者負担は労使合意がある場合に限り、事業主負担額の2分の1まで
- 運用リスクを負うのは会社。積立不足が生じれば事業主に追加拠出義務がある(企業型DCは逆に加入者本人がリスクを負う)
- DB・企業型DC・iDeCoはいずれも年金の「3階部分」=私的年金(任意加入)で、公的年金への上乗せという位置づけ

まとめ:DBは「会社が守ってくれる」年金
DBは、運用の結果にかかわらず約束された給付額を受け取れる、加入者にとって安心感の大きい制度です。一方で会社側は積立不足の追加拠出義務という重い責任を負っており、その分制度設計や運営には手間とコストがかかります。企業型DC・iDeCoと合わせて、自分の会社がどの制度を採用しているのか、一度確認してみることをおすすめします。
自分で学ばないと、だれも教えてくれないからこのブログをきっかけに学ぼうと思っていただけると嬉しいです。
次回は、iDeCo・iDeCo+・企業型DC・DBの全体像を整理した記事です。お楽しみに!


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