企業型DCのマッチング拠出、2026年4月に上限撤廃
【この記事でわかること】
・企業型DCのマッチング拠出、2026年4月から何が変わるのか
・「加入者掛金は事業主掛金以下」というルールがどうなるのか
・掛金を増やす前に確認しておきたい3つのポイント
企業型DCのマッチング拠出、使っているけど「事業主掛金までしか上乗せできない」のがちょっと物足りない…そう感じたことはありませんか。信託実務で退職金や年金の相談を受けていると、「会社の掛金が少ないから、自分で増やせる範囲も限られてしまう」という声を本当によく聞きます。
実はこの制限、2026年4月1日になくなりました。厚生労働省が公表した資料をもとに、企業型DCのマッチング拠出がどう変わったのか、元国税職員の視点でやさしく整理します。
何が変わるのか?2026年4月1日施行の制度改正
企業型DCの加入者は、会社(事業主)の掛金に上乗せして自分でも掛金を出す「マッチング拠出」を利用できます。ただし現行制度では、この加入者掛金の額は事業主掛金の額を超えてはならないという制限が設けられています。
厚生労働省「2025年の制度改正」には、次のように明記されています。
「マッチング拠出における加入者掛金の額は、事業主掛金の額を超えてはならないという制限が設けられています。事業主掛金の額によらずに、加入者がそれぞれの状況に応じ拠出限度額の枠を十分に活用し老後の資産所得の確保が可能となるよう、当該制限を撤廃します」(厚生労働省「2025年の制度改正」より引用)
根拠となる確定拠出年金法施行令の一部を改正する政令の公布について(通知)(年発1219第1号)は2025年12月19日付で公布され、2026年4月1日から施行されました。
厚生労働省の資料には、改正前後のイメージ図も掲載されています。改正前は加入者掛金が事業主掛金の額で頭打ちになる仕組みでしたが、改正後はその上限がなくなり、会社全体の拠出限度額の枠内であれば、加入者掛金を事業主掛金より多く設定することもできるようになりました。
どこまで増やせるのか?改正前後の違い
今回の改正で撤廃されるのは「加入者掛金が事業主掛金を超えてはならない」という上限規制だけです。企業型DC全体にかかる「拠出限度額」(事業主掛金+加入者掛金の合計の上限)そのものが撤廃されるわけではありません。
| 項目 | 改正前(〜2026年3月) | 改正後(2026年4月〜) |
|---|---|---|
| 加入者掛金の上限 | 事業主掛金の額まで | 上限規制なし(枠内で自由) |
| 会社全体の拠出限度額 | 変更なし | 変更なし(別途2026年12月に引き上げ) |
| 加入者掛金の変更回数 | 拠出単位期間に1回 | 拠出単位期間に1回(4〜11月は経過措置あり) |
企業型DCのみに加入している場合(他に企業年金がない場合)の拠出限度額は、厚生労働省「確定拠出年金の拠出限度額」によると次のとおりです。マッチング拠出で増やせる範囲も、最終的にはこの拠出限度額の枠内に収まります。
| 区分 | 現行(〜2026年11月) | 改正後(2026年12月〜) |
|---|---|---|
| 企業型DCのみに加入 | 月5.5万円 | 月6.2万円 |
| 企業型DC+DB等の他制度に加入 | 5.5万円−他制度掛金相当額 | 6.2万円−他制度掛金相当額 |
出典:厚生労働省「確定拠出年金の拠出限度額」(現行分PDF/改正後分PDF)をもとに作成。他制度掛金相当額は確定給付企業年金(DB)等の給付水準から算定される仮想的な掛金額です。
増額前に確認したい3つのポイント
📅 タイムラインで見る
制限撤廃・施行
経過措置期間
拠出限度額の引き上げ
①規約変更が必要
制限撤廃は法令上のルール変更であり、自動的に反映されるわけではありません。会社の企業型年金規約を変更してはじめて、加入者掛金を事業主掛金より多く設定できるようになります。規約変更がまだの会社では、当面は従来どおりの制限が続きます。なお、この「制限を撤廃するだけ」の規約変更については、厚生労働省が「特に軽微な変更」と位置付けており、地方厚生局への届出は不要とされています(新しい掛金の選択肢を追加するなど、他の制度設計もあわせて見直す場合は別途承認申請が必要です)。会社にとっても、比較的着手しやすい改正だといえそうです。
②2026年4月〜11月末は変更回数の経過措置あり
加入者掛金の変更は通常「拠出単位期間に1回」までと決まっています。厚生労働省令により、2026年4月1日から11月30日までの間に限り、はじめて事業主掛金を超えるよう引き上げる変更は、この年1回ルールの例外として臨時に認められます。
③iDeCoとの同時拠出は引き続きできない
マッチング拠出を行っている人は、今回の改正後も引き続きiDeCoに同時加入することはできません。厚生労働省の資料にも「マッチング拠出かiDeCo加入かを加入者ごとに選択することが可能」と明記されており、この選択制の扱いは今回の制限撤廃の対象外で、変更はありません。
✅ この記事のポイント
- 企業型DCのマッチング拠出「加入者掛金は事業主掛金以下」の制限は2026年4月1日に撤廃
- 撤廃後も会社全体の拠出限度額という天井はそのまま。無制限に増やせるわけではない
- 反映には会社の規約変更が必要。2026年4月〜11月末は掛金変更回数の経過措置あり
- マッチング拠出とiDeCoの同時拠出はできない(選択制、変更なし)
まとめ:規約変更の有無をまず会社に確認しよう
2026年4月1日から、企業型DCのマッチング拠出で「加入者掛金は事業主掛金を超えられない」という制限が撤廃されました。ただし自動的に反映されるわけではなく、会社の規約変更が前提です。まずは自分の会社がこの改正にどう対応するのか、人事・総務や運営管理機関に確認してみることから始めてみましょう。
自分で学ばないと、だれも教えてくれません。このブログをきっかけに、少しずつ学んでいただけると嬉しいです。
次回は、企業型DCの「簡易型DCの通常DCへの統合」(2026年4月1日施行)について解説予定です。お楽しみに!


最後まで読んでくれてありがとう
資料集めやサーバー代など、ブログ作成には費用がかかっています。応援していただいた分は、次の記事づくりに大切に使わせていただきます。またブログに遊びに来てくださいね。
応援する【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の個人・法人に対する税務・法律・社会保険上のアドバイスではありません。記載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本記事を参考にした判断・行動による損害について当サイトは責任を負いかねます。個別の判断・手続きについては、税理士・社会保険労務士・弁護士・ファイナンシャルプランナーなど各分野の専門家にご相談ください。記載内容は2026年8月時点の情報に基づいており、法改正・制度改正等により変更となる場合があります。

