税務知識

贈与税の超キホン|暦年課税と「年110万円の基礎控除」をやさしく解説

贈与税の超キホン|暦年課税と「年110万円の基礎控除」をやさしく解説
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【この記事でわかること】
・そもそも「贈与税」とは何か、誰が払うのか
・1年ごとに計算する「暦年課税」のしくみ
年110万円の基礎控除(ここまでは非課税)
・贈与税の計算のしかた(かんたんな例つき)

穏やかな朝の海。贈与税の基本をやさしく学ぶイメージ

「親からまとまったお金をもらったら、税金ってかかるの?」——子育てや教育費、住宅資金などで、親や祖父母から援助を受ける場面は少なくありません。そんなとき気になるのが贈与税です。

名前は聞いたことがあっても、「いくらから?」「誰が払うの?」と聞かれると、意外と答えられない方が多いものです。この記事では、元・国税局係長として16年以上税務に携わった筆者が、贈与税のいちばん基本となる「暦年課税」のしくみを、できるだけやさしく解説します。

トラ
贈与税は、相続税とセットで考えると分かりやすい税金。まずは『1年ごとに数える』基本のしくみからいこう!

贈与税ってそもそも何?誰が払うの?

贈与税とは、個人から財産をタダで(無償で)もらったときにかかる税金です。現金だけでなく、不動産や株式、車などをもらった場合も対象になります。

ポイントは、税金を払うのは「もらった人(受贈者)」だということです。あげた人ではありません。1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計に対して課税されます。

項目内容
税金を払う人財産をもらった人(受贈者)
数える期間1月1日〜12月31日の1年間
対象現金・不動産・株式・車など、無償でもらった財産
申告・納付もらった翌年の2月1日〜3月15日に申告・納付

出典:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

ライオン
え、もらった側が払うんだ?あげた親が払うのかと思ってた!
トラ
そう、ここを勘違いしてる人が多いんだ。もらった人が、もらった年の翌年に申告するんだよ。
山と湖の静かな風景。1年ごとに区切る暦年課税のイメージ

年110万円までは非課税!基礎控除のしくみ

ここがいちばん大事なポイントです。贈与税には「基礎控除」があり、1年間にもらった合計が110万円以下なら、贈与税はかかりません。申告も不要です。

この「1年ごとに区切って課税する」方式を暦年課税といいます。たとえば1年間に父から100万円をもらっても、110万円以下なので贈与税は0円です。

注意したいのは、110万円は「もらった人ひとり」の枠だということ。父から60万円・母から60万円もらうと合計120万円となり、110万円を超えた10万円分が課税対象になります。

ライオン
じゃあ毎年110万円ずつなら、ずっと税金ゼロでもらえるの?
トラ
基本はそうだよ。ただし相続が近づくと『持ち戻し』というルールもあるから、そこは別記事で詳しく説明するね。
森に差し込む光。贈与税の計算をやさしく理解するイメージ

【歴史】基礎控除は最初からずっと110万円だったわけではない

いまでは当たり前の「年110万円」ですが、実はこの金額になったのは平成13年(2001年)から。それ以前は60万円の時代が四半世紀も続き、さらにさかのぼるとわずか10万円という時代もありました。

期間基礎控除額
昭和28年〜昭和32年(1953〜1957年)10万円
昭和33年〜昭和38年(1958〜1963年)20万円
昭和39年〜昭和49年(1964〜1974年)40万円
昭和50年〜平成12年(1975〜2000年)60万円
平成13年(2001年)〜現在110万円

昭和50年以降の60万円時代と平成13年の110万円への引き上げは、財務省の財政史資料(税制調査会関係資料集・国税庁統計年報書に基づく表)で確認できます。昭和期の税率も現在とは大きく違い、昭和50年当時は最低10%〜最高75%の14段階という、いまよりずっと重い累進構造でした(現在は10%〜55%の8段階)。(出典:財務省「平成財政史(平成元〜12年度)」第9節 相続税・贈与税(表2-9-5)/昭和期前半の金額は尾藤武英税理士事務所の解説による)

💡 豆知識:法律の本則は、いまも「60万円」のまま

意外に思われるかもしれませんが、相続税法第21条の5には、いまでも「60万円を控除する」と書かれています。では、なぜ110万円なのか。それは租税特別措置法第70条の2の4が「相続税法第21条の5の規定にかかわらず、110万円を控除する」と定めているからです。特別法が本法に優先するルール(特別法優先の原則)により、実際の計算では110万円が適用されます。条文はどちらも現行法として生きており、e-Gov法令検索で確認できます。

こうして歴史を振り返ると、基礎控除は物価や経済の成長に合わせて段階的に引き上げられてきたことがわかります。110万円になってからすでに20年以上——将来の税制改正の動きにも注目です。

贈与税の計算方法(かんたんな例つき)

贈与税は、次の計算式で求めます。国税庁が示している計算式です。

(1年間にもらった合計 − 110万円)× 税率 − 控除額 = 贈与税額

たとえば1年間に200万円をもらった場合、基礎控除110万円を引いた90万円が課税対象になります。この「基礎控除後の金額」に税率をかけて計算します。

税率は金額が大きくなるほど高くなる累進構造で、さらに「誰からもらったか」によって税率が変わります。父母・祖父母からの贈与は税率が低くなる優遇があり、これは次回くわしく解説します。

出典:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率

✅ この記事のポイント

  • 贈与税は「財産をもらった人(受贈者)」が払う
  • 1年(1月1日〜12月31日)ごとに数えるのが「暦年課税」
  • 年110万円までは非課税・申告不要(基礎控除)
  • 計算式は「(もらった額−110万円)×税率−控除額」

まとめ:まずは「年110万円」を覚えよう

贈与税は難しそうに見えますが、まずは「もらった人が払う」「年110万円までは非課税」という2点を押さえれば十分です。この土台があると、相続対策の話も一気に理解しやすくなります。

「知らなかった」では損をするのが税金の世界です。このブログをきっかけに、ご家族で少しずつ学んでいきましょう。

次回予告
次回は「父母・祖父母からの贈与は税金が安い|特例贈与と一般贈与の違い」について解説予定です。同じ金額でも、誰からもらうかで税額が変わるしくみを、税率表で比べてみます。お楽しみに!

ライオン
まずは110万円ね。なんだか身近に感じてきた!
トラ
その調子!基本が分かると、次の『誰からもらうと得か』の話がもっと面白くなるよ。
ライオントラ

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みるきー
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≫脱≪安定を求めし者
税務署・国税局に通算16年超勤務し、税務調査担当係長等を歴任。相続・贈与・譲渡といった資産税の実務にも精通。現在は民間企業へのキャリアチェンジも経験し、信託関係の事務に従事しています。「お金のことって、自分で学ばないと誰も教えてくれない」——そんな実感から、このブログを始めました。3人の子育てを経験しながら、育休も3回取得。転職・税金・子育てという、30代・40代がリアルに向き合うテーマを、むずかしい言葉を使わず、スキマ時間で読めるブログとしてお届けしています。【保有資格】1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)/宅地建物取引士/一種外務員資格/家族信託専門士
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