父母・祖父母からの贈与は税金が安い|特例贈与と一般贈与の違い
【この記事でわかること】
・「特例贈与」と「一般贈与」の違い
・父母・祖父母からの贈与は税率が低い理由
・税率が分かれたのは2015年(平成27年)から
・同じ金額でいくら差がつくか(計算例つき)

前回は、贈与税の基本「年110万円までは非課税」というしくみを解説しました。今回はもう一歩進んで、「誰からもらうか」で税額が変わるというお話です。
じつは贈与税には、父母や祖父母からの贈与を優遇する「特例税率」があります。同じ金額をもらっても、相手によって税金が変わるのです。元・国税局係長として資産税の実務に携わってきた筆者が、税率表を使ってわかりやすく比べてみます。
特例贈与と一般贈与は何が違う?
贈与税では、贈与財産を2種類に分けています。
| 区分 | 対象となる贈与 | 税率 |
|---|---|---|
| 特例贈与財産 | 直系尊属(父母・祖父母)から、贈与年の1月1日に18歳以上の子・孫への贈与 | 特例税率(低い) |
| 一般贈与財産 | 上記以外(兄弟姉妹間・夫婦間・他人から、未成年の子への親からの贈与など) | 一般税率 |
ポイントは「直系尊属(まっすぐ上の世代)から、18歳以上の子や孫への贈与」だけが特例税率になるという点です。兄弟間や夫婦間、他人からの贈与は一般税率です。

税率が分かれたのは2015年から(昔は一律だった)
じつは、この特例税率と一般税率の区分が始まったのは2015年(平成27年)1月1日の贈与からです。それ以前は、誰からの贈与でも税率は一律でした。
少子高齢化のなか、「高齢世代から若い世代へ財産を早めに移してもらいたい」という国の狙いから、親や祖父母からの贈与を優遇する特例税率が設けられた、という背景があります。
税率表で比べてみる|同じ500万円でいくら違う?
では実際の税率表を見てみましょう。まず一般税率です。
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | — |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
次に特例税率です。同じ税率でも、適用される金額の幅が広く(=税率が上がりにくく)、控除額も大きく設定されています。
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | — |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
表を見て気づかれた方もいるかもしれませんが、基礎控除110万円を引いた後の金額が300万円以下(贈与額410万円以下)であれば、一般税率と特例税率の税率・控除額はまったく同じです。特例税率の恩恵が大きく効いてくるのは、控除後の金額が300万円を超えてからになります。
たとえば500万円をもらった場合で比べてみます。基礎控除110万円を引いた390万円が計算のもとになります(計算式:基礎控除後の課税価格×税率−控除額)。
| もらった相手 | 区分 | 計算 | 贈与税額 |
|---|---|---|---|
| 父(18歳以上の子へ) | 特例贈与 | 390万×15%−10万 | 48万5,000円 |
| 兄 | 一般贈与 | 390万×20%−25万 | 53万円 |
出典:国税庁 No.4408の税率表・計算式に基づき試算
同じ500万円でも、父からなら48万5,000円、兄からなら53万円。その差は4万5,000円です。金額が大きくなるほど、この差はさらに広がります。

✅ この記事のポイント
- 直系尊属(父母・祖父母)から18歳以上の子・孫への贈与は「特例税率」で安い
- 兄弟間・夫婦間・他人からの贈与は「一般税率」
- 税率が分かれたのは2015年(平成27年)から。昔は一律だった
- 同じ500万円でも、父からと兄からで税額が4万5,000円違う
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まとめ:誰からの贈与かで税額は変わる
贈与税は「もらった金額」だけでなく、「誰からもらったか」でも変わります。父母・祖父母からの贈与は特例税率で優遇されている——この知識があるだけで、家族でのお金の渡し方を考えるヒントになります。
とはいえ、基礎控除110万円を上手に使えば、そもそも贈与税をかけずに少しずつ渡すこともできます。大切なのは「早めに・計画的に」です。
次回予告
次回は「相続時精算課税とは?|適用要件と2024年からの年110万円控除」について解説予定です。暦年課税とはまったく別の、もう一つの贈与の選択肢を紹介します。お楽しみに!


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