相続時精算課税と暦年課税|贈与額でどう差が出る?比較図つき
【この記事でわかること】
・相続時精算課税と暦年課税(特例税率)の違いのおさらい
・贈与額別に「贈与時の税額」がいくら違うのか(比較表+図)
・精算課税の「税額ゼロ」のからくり(相続時の扱いが正反対)
・2024年改正で変わった「勝負どころ」
・6パターンのシミュレーション(設例)で「どちらが有利か」がひと目でわかる早見表(有料部分)

「相続時精算課税と暦年課税、結局どっちが得なの?」——贈与を考え始めた方から、必ずといっていいほど出てくる質問です。
結論から言うと、ある2つの条件の組み合わせで答えが変わります。私は元・国税局で資産税(相続・贈与・譲渡)の実務に携わってきました。この記事では、贈与額別の税額を実際に計算して、ふたつの制度の違いを目に見える形で比較します。
① 2つの制度をおさらい|土俵がそもそも違う
まず前提の整理です。詳しくは暦年課税の基本・相続時精算課税の解説で書きましたが、要点はこの表のとおりです。
| 項目 | 暦年課税(特例税率) | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 非課税枠 | 年110万円(基礎控除) | 年110万円+累計2,500万円(特別控除) |
| 税率 | 10〜55%の累進 | 特別控除超過分に一律20% |
| 相続時の扱い | 相続開始前7年以内の贈与のみ加算 | 贈与額(年110万円控除後)を全額加算 |
| 選択 | 原則(手続き不要) | 届出が必要・一度選ぶと戻れない |
(出典:国税庁 No.4408・No.4103)
② 贈与額別に比較!同じ金額でこれだけ違う
では本題です。18歳以上の子・孫が、父母・祖父母から一括で贈与を受けた場合の「贈与時の税額」を、金額別に計算してみます。
【試算の前提】暦年課税は特例税率(国税庁No.4408の速算表)で計算。相続時精算課税は特別控除2,500万円をまだ使っていない前提で、(贈与額−基礎控除110万円−特別控除)×20%(国税庁No.4103の計算方法)で計算した一般的な試算です。
| 贈与額(一括) | 暦年課税(特例税率) | 相続時精算課税 | 贈与時の差額 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 48万5,000円 | 0円 | 48万5,000円 |
| 1,000万円 | 177万円 | 0円 | 177万円 |
| 2,000万円 | 585万5,000円 | 0円 | 585万5,000円 |
| 3,000万円 | 1,035万5,000円 | 78万円 | 957万5,000円 |
| 5,000万円 | 2,049万5,000円 | 478万円 | 1,571万5,000円 |
▲ この図の出典(国税庁タックスアンサー):No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)/No.4103 相続時精算課税の選択
図を見ると一目瞭然。「贈与した時点」の税額だけを比べれば、相続時精算課税が圧倒的に軽いのです。2,610万円(基礎控除110万円+特別控除2,500万円)までは税額ゼロ。同じ2,000万円の贈与でも、暦年課税なら585万5,000円かかるのに対して、精算課税なら0円です。
⚠️ ここで比較しているのは「贈与した瞬間の税額」だけです
上の表のとおり、暦年課税は相続開始前7年以内の贈与に持ち戻しがある場合があり、精算課税は相続時に贈与額(基礎控除分を除く)が持ち戻されます。ここで比較しているのは、あくまで「一括贈与した、その瞬間の税額」だけです。
実際に相続が起きたときにどうなるかは、7年持ち戻しの有無や精算課税の持ち戻しによって個別に変わるため、「精算課税が一番お得」というわけではありません。相続まで含めた比較は、この後で詳しく見ていきます。
⚠️ 誤解しやすいポイント:非課税枠は「2,500万円」ではなく「2,610万円」
相続時精算課税は「2,500万円まで非課税」と覚えている方が多いのですが、正確には少し違います。2024年(令和6年)から、特別控除2,500万円とは別に、年110万円の基礎控除が新設されました。そのため非課税になるのは「特別控除2,500万円+基礎控除110万円=2,610万円」です(1年で一括贈与した場合)。
- 基礎控除110万円…毎年使える(使い切りで翌年また110万円)
- 特別控除2,500万円…一生涯の累計の枠(使うほど残額が減る)
そして、この枠を超えた部分には金額にかかわらず一律20%の贈与税がかかります(暦年課税のような累進ではありません)。計算は「基礎控除110万円 → 特別控除2,500万円」の順に引き、残った金額に20%を掛けます。
【計算例】親から一括で3,300万円を贈与
(3,300万円 − 110万円〈基礎控除〉 − 2,500万円〈特別控除〉)× 20% = 690万円 × 20% = 贈与税138万円
(出典:国税庁No.4103「基礎控除額110万円を控除し、特別控除額(限度額2,500万円)を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて算出」/基礎控除110万円の新設は相続税及び贈与税の税制改正のあらまし)

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購入前に、下記の「有料部分の目次」や「この記事でわかること」を参考にご検討ください。
📖 有料部分の目次(Contents)
- 精算課税「税額ゼロ」のからくり
- 2024年改正で変わった勝負どころ
- 相続まで含めるとどうなる?6パターンのシミュレーション(設例)+早見表
- 特例税率と一般税率、「差が出る金額」と「18歳の壁」
- 父と母で「別々の制度」を選ぶ応用ワザ
- まとめ
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