確定申告・所得税

国民年金基金とは?掛金上限68,000円とiDeCoとの違い|元国税職員が解説

国民年金基金とは?掛金上限68,000円とiDeCoとの違い|元国税職員が解説
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【この記事でわかること】
・国民年金基金の加入資格と、掛金の上限(月額68,000円)
・給付7種類(終身年金A・B型/確定年金I〜V型)の違い
・iDeCoとの違いと、どちらを優先すべきかの考え方
・税制優遇(社会保険料控除・遺族一時金の非課税)の内容

穏やかな湖面に空が映り込む風景、老後資金を落ち着いて考える時間を表す写真

「会社員なら厚生年金があるのに、自営業やフリーランスは国民年金だけ。老後が不安…」——独立して働く方から、そんな声をよく聞きます。国民年金の老齢基礎年金だけでは、会社員が受け取る厚生年金に比べてどうしても見劣りするのが実情です。

私は国税専門官として16年以上、税務署・国税局に勤務した後、民間企業へ転職しました。今回は、国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランス等)が使える公的な上乗せ年金制度「国民年金基金」について、加入資格から掛金、iDeCoとの違いまで、公式資料に基づいて整理します。

📋 国民年金基金とは?加入できる人・できない人

国民年金基金は、国民年金に上乗せして老後資金を準備できる確定給付型の公的年金制度です。会社員・公務員が加入する厚生年金に相当する「2階部分」を、自営業者等が自分で用意する仕組みだとイメージするとわかりやすいでしょう(出典:国民年金基金連合会「加入条件・資格」)。

区分 該当者
加入できる20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者(自営業者・フリーランス・学生・無職等)/60歳以上65歳未満または海外居住で国民年金に任意加入している方
加入できない厚生年金加入の会社員・公務員(第2号被保険者)/その被扶養配偶者(第3号被保険者)/国民年金保険料の免除・猶予を受けている方/農業者年金の被保険者

出典:国民年金基金連合会「加入条件・資格」(確認日:2026-08-23)

ポイントは、加入は任意だが、いったん加入すると自分の意思では脱退できないという点です。会社員になるなど第1号被保険者でなくなったとき以外は、原則65歳(または60歳)まで加入が続きます。国民年金の付加保険料(月額400円)を代行した制度という位置づけのためです。

ノートとペン、電卓がテーブルに置かれた写真、掛金の計算をイメージ

💰 掛金は月額68,000円が上限|iDeCoとの合算ルール

国民年金基金の掛金上限は月額68,000円です。ここで注意したいのは、iDeCo(個人型確定拠出年金)にも加入している場合、国民年金基金とiDeCoの掛金を合算して68,000円が上限になる点です(出典:全国国民年金基金「FAQ:基金の掛金」)。

ライオン
国民年金基金とiDeCo、両方に入ったら掛金は最大136,000円まで払えるってことですか?
トラ
そこが誤解しやすいところで、合算で68,000円が上限だよ。基金に40,000円払っていたら、iDeCoには28,000円までしか出せない仕組みなんだ

なお、国民年金保険料の免除期間分をあとから追納した場合、その追納した期間に相当する期間(最長5年)に限り、掛金上限が一時的に月額102,000円になる特例もあります(前掲・全国国民年金基金FAQ)。

🎯 給付は7種類|終身年金と確定年金の違い

国民年金基金の給付には、生きている限り受け取れる「老齢年金」と、万一の際の「遺族一時金」の2つがあります。老齢年金は口数制で、終身年金2種類・確定年金5種類の計7種類から選んで組み合わせる仕組みです(出典:国民年金基金連合会「給付の種類」)。

給付の型 受給期間 遺族一時金
終身A型65歳から一生涯あり(15年保証)
終身B型65歳から一生涯なし(受給前死亡のみ1万円)
確定I型65歳から15年間あり(15年保証)
確定II型65歳から10年間あり(10年保証)
確定III型60歳から15年間あり(15年保証)
確定IV型60歳から10年間あり(10年保証)
確定V型60歳から5年間あり(5年保証)

出典:国民年金基金連合会「給付の種類」(確認日:2026-08-23)

1口目は必ず終身年金A型かB型のいずれかを選ぶという決まりがあり、2口目以降で確定年金を自由に組み合わせられます。また、確定年金(I〜V型)の年金額は、終身年金の年金額を超えない範囲にする必要があります。50歳1月以降に加入する方はIV型・V型に、60歳以上の方はII〜V型に新規加入・増口できないという年齢制限もあるので、年齢が上がってから検討する場合は選べるプランが狭まる点に注意が必要です。

⚖️ iDeCoとの違いと税制優遇|どちらを優先すべきか

国民年金基金とiDeCoは、どちらも国民年金第1号被保険者が使える上乗せ年金制度ですが、性格はまったく異なります。

項目 国民年金基金 iDeCo
制度の種類確定給付型確定拠出型
受給額加入時に確定運用成果次第(元本割れの可能性あり)
受給期間終身年金が基本有期年金(5〜20年)または一時金
運用の自由度なし(基金が運用)あり(自分で商品選択)
途中脱退不可原則不可(掛金の一時停止は可)

出典:国民年金基金連合会iDeCo公式サイトの情報を基に作成(確認日:2026-08-23)

運用リスクを取りたくない・老後の受取額を確定させたい方は国民年金基金、自分で運用して増やす可能性に賭けたい方はiDeCo、というのが基本的な選び方の軸になります。もちろん、掛金の範囲内であれば両方に併用加入することも可能です。

なお、国民年金には「付加年金」(月額400円で将来の年金額を増やす制度)もありますが、国民年金基金と付加年金は法律上、重複して加入することができません。国民年金基金は付加年金を代行した制度という位置づけのため、基金に加入すれば付加保険料を別途納める必要はなく、基金加入中に付加年金を選ぶこともできない仕組みです。

税制優遇も手厚く、掛金は全額が社会保険料控除の対象となり、確定申告・年末調整で所得税・住民税が軽減されます。生計を一にする配偶者や親族の掛金を本人が支払った場合も、本人の控除として申告できます。将来受け取る年金は公的年金等控除の対象となり、加入者が年金受給前に死亡した場合の「遺族一時金」は国民年金法第25条により全額非課税です(出典:国民年金基金連合会)。

海の水平線から昇る朝日、老後という長い航海の見通しを表す写真

✅ この記事のポイント

  • 加入できるのは国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランス等)。会社員・公務員は加入不可
  • 掛金上限は月額68,000円。iDeCoに加入している場合は合算で68,000円が上限
  • 給付は終身年金2種・確定年金5種の計7種類。1口目は終身A型かB型を選ぶ必要がある
  • iDeCoと違い受給額は加入時に確定し、運用リスクがない一方、途中脱退はできない
  • 付加年金とは併用不可。掛金は全額社会保険料控除、遺族一時金は非課税

まとめ

国民年金基金は、厚生年金という後ろ盾がない自営業・フリーランスにとって、老後の受取額を確定させながら上乗せできる数少ない公的制度です。iDeCoのように運用の手間や元本割れリスクがない一方、いったん加入すると自分の意思では脱退できないという重みもあります。「知らなかった」で選択肢を狭めてしまう前に、まずは制度の仕組みを正しく知ることから始めてみませんか。自分で学ばないと、だれも教えてくれません。このブログをきっかけに、少しずつ学んでいただけると嬉しいです。

次回は「厚生年金基金」について解説予定です。お楽しみに!

あわせて読みたい:中退共とは?加入条件・掛金・国の助成をわかりやすく解説

ライオントラ

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みるきー
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≫脱≪安定を求めし者
税務署・国税局に通算16年超勤務し、税務調査担当係長等を歴任。相続・贈与・譲渡といった資産税の実務にも精通。現在は民間企業へのキャリアチェンジも経験し、信託関係の事務に従事しています。「お金のことって、自分で学ばないと誰も教えてくれない」——そんな実感から、このブログを始めました。3人の子育てを経験しながら、育休も3回取得。転職・税金・子育てという、30代・40代がリアルに向き合うテーマを、むずかしい言葉を使わず、スキマ時間で読めるブログとしてお届けしています。【保有資格】1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)/宅地建物取引士/一種外務員資格/家族信託専門士
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