iDeCo加入年齢、2026年12月から70歳未満に拡大
【この記事でわかること】
・iDeCoの加入可能年齢が2026年12月からどう変わるか
・新設される「第5号加入者」になれる人の条件
・2029年11月末までの経過措置と、拠出できる金額
「iDeCoって60歳になったらもう入れないんですよね?」——国税局で相談を受けていた頃も、独立後も、この質問はよく耳にしました。実際、今までのiDeCoは原則60歳未満までしか加入できず、60歳を過ぎたら「あとは運用を続けるだけ」というのが一般的な理解でした。
ところが2026年12月から、その前提が変わります。60歳を過ぎても、一定の条件を満たせば70歳未満までiDeCoに加入し続けられる制度がスタートするのです。「もう掛金は増やせない」と思っていた60代の方にとっては、見逃せない改正です。今日は、この「加入可能年齢の引き上げ」の中身を、元国税職員の目線でやさしく整理します。
iDeCoの加入可能年齢とは?2026年12月からどう変わる
今回の改正は、2026年(令和8年)12月1日に施行されます。根拠となるのは、令和7年改正法(社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律、令和7年法律第74号)による確定拠出年金法の改正と、それに伴う政令・省令の整備です。厚生労働省の案内リーフレットにも、この改正がはっきりと明記されています。
ポイントは、iDeCoの加入者区分に「第5号加入者」という新しい枠が追加されることです。これまでの第1号〜第4号加入者は「国民年金の被保険者であること」が前提でしたが、第5号加入者は国民年金の被保険者でなくなった60歳以上70歳未満の人を対象にした、いわば新しい受け皿です。
| 区分 | 現行 | 改正後(2026年12月〜) |
|---|---|---|
| 加入可能年齢 | 原則60歳未満 | 70歳未満まで拡大(第5号加入者を新設) |
| 第5号加入者の拠出限度額 | (区分なし) | 月額6.2万円(企業年金等がある場合は合算で6.2万円) |
出典:厚生労働省「iDeCoの拠出限度額と加入可能年齢が引き上げられます。」(PDF)
新設「第5号加入者」の対象要件
「じゃあ60歳を過ぎたら誰でも入れるの?」というと、そうではありません。第5号加入者になるには、次の条件をすべて満たす必要があります。
📌 第5号加入者になれる人の条件
- 60歳以上70歳未満であること
- 国民年金の被保険者ではないこと(会社員・公務員として厚生年金に加入していない、任意加入もしていない状態)
- 次のいずれかに該当すること:①iDeCo加入者である/②iDeCo運用指図者である/③企業年金からiDeCoへ資産を移換する者である
- 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していないこと
- 企業型DCのマッチング拠出を実施していないこと
元国税職員の実感として付け加えると、こうした「複数の要件をすべて満たす必要がある」制度は、条件を1つでも見落として「対象外だと思っていたら実は対象だった」あるいはその逆のケースが起きやすいところです。ご自身が該当するかどうかは、加入している運営管理機関(金融機関等)に個別に確認するのが確実です。
拠出限度額はいくら?2029年11月末までの経過措置も
第5号加入者の拠出限度額は、月額6.2万円です(企業年金等がある場合は、その分を含めて合計6.2万円が上限)。これは第2号加入者(会社員・公務員)と同じ「穴埋め方式」で計算されます。
さらに見逃せないのが経過措置です。先ほどの条件(①iDeCo加入者②運用指図者③資産移換者のいずれかに該当)は、本来はやや狭い入口です。しかし施行から一定期間は、間口が広く設定されています。
| 期間 | 求められる要件 |
|---|---|
| 原則(経過措置後も共通) | 60〜70歳未満・国民年金の被保険者ではない・①iDeCo加入者②運用指図者③資産移換者のいずれかに該当・老齢基礎年金等を未受給 |
| 経過措置 2026年12月1日〜2029年11月30日 | 上記①〜③のいずれにも該当しなくても、60〜70歳未満で日本国内に住所があれば新規加入が可能 |
出典:厚生労働省「国民年金基金令等の一部を改正する政令の公布について(通知)」(年発1224第1号)
つまり、施行から3年間は「これまでiDeCoと縁がなかった60代の方」でも新規加入できる特例期間になっています。逆にいえば、2029年12月以降に新規加入を考える場合は、①〜③のいずれかに該当している必要があるので、加入を検討している方は経過措置期間中に手続きを済ませておくのが安心です。
なぜ今、加入可能年齢が広がるのか
厚生労働省の資料では、この改正の背景として「急速な高齢化・長寿化による人生100年時代の到来」と「60歳以降も働く人の増加」が挙げられています。公的年金を補完する私的年金であるiDeCoについても、60歳から70歳にかけて継続的に資産形成できる環境を整えることが目的とされています。
私自身、国税局の窓口でも「定年後も働き続けている」という60代の方の相談を受ける機会が年々増えていた実感があります。働き方が多様になった分、資産形成の選択肢も広げようという流れの一つだと捉えると、腑に落ちる改正です。
なお、iDeCoの老齢給付金を受け取り始める年齢の上限(現行は60〜75歳の間で選択可能)については、今回の改正では変更されません。あくまで「加入できる年齢」が広がる改正であり、「受け取れる年齢」の仕組み自体は従来どおりです。
✅ この記事のポイント
- iDeCoの加入可能年齢が2026年12月1日から「70歳未満」に拡大。新しい加入者区分「第5号加入者」が新設される
- 対象は60〜70歳未満・国民年金の被保険者でない・iDeCo加入者等いずれかに該当・老齢給付金未受給の人
- 拠出限度額は月額6.2万円(企業年金等と合算)
- 2029年11月末までは、上記の要件に当てはまらない60〜70歳未満の人でも新規加入できる経過措置がある
📚 あわせて読みたい
まとめ:60代からでもiDeCoを続けられる時代に
2026年12月から、iDeCoは「60歳になったら終わり」の制度ではなくなります。条件を満たせば70歳未満まで加入を続けられる第5号加入者という選択肢が生まれ、特に施行から3年間の経過措置期間は間口も広めです。ご自身やご家族が対象になりそうか気になった方は、まずは加入している(あるいはこれから加入を考えている)運営管理機関に確認してみることをおすすめします。
自分で学ばないと、だれも教えてくれません。このブログをきっかけに、少しずつ学んでいただけると嬉しいです。
次回は、iDeCoと同じ2026年の制度改正で予定されている「企業型DCのマッチング拠出、上限撤廃」について解説予定です。お楽しみに!


最後まで読んでくれてありがとう
資料集めやサーバー代など、ブログ作成には費用がかかっています。応援していただいた分は、次の記事づくりに大切に使わせていただきます。またブログに遊びに来てくださいね。
応援する【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の個人・法人に対する税務・法律・社会保険上のアドバイスではありません。記載内容の正確性・完全性を保証するものではなく、本記事を参考にした判断・行動による損害について当サイトは責任を負いかねます。個別の判断・手続きについては、税理士・社会保険労務士・弁護士・ファイナンシャルプランナーなど各分野の専門家にご相談ください。記載内容は2026年8月時点の情報に基づいており、法改正・制度改正等により変更となる場合があります。

