医療費控除の確定申告のやり方|明細書の書き方とマイナポータル連携
【この記事でわかること】
・医療費控除の明細書に、実際は何をどう書けばいいのか
・マイナポータル連携で医療費の入力が自動化される仕組みと事前準備
・連携しても「手入力が必要な費用」と、2026年からの紙の通知の変化
「今年も医療費のレシートが引き出しにたまっている……」。3人の子どもを育てていると、夜間の発熱受診や出産のたびの入院費用で、毎年この引き出しと向き合うことになります。私自身、税務署の窓口に立っていた頃、確定申告の時期になると「明細書ってどこまで細かく書けばいいんですか」という質問を数えきれないほど受けてきました。
結論から言うと、医療費控除の明細書は思っているより身構える必要はありません。しかも今は、マイナポータルと連携すれば医療費データの多くが自動で入力される時代です。ただし「連携すれば全部自動」というわけでもなく、そこには元国税職員として見過ごせない注意点もあります。今回は、明細書の書き方とマイナポータル連携の実際の手順、そして2026年に入って起きた変化を整理します。
医療費控除の明細書、結局何を書けばいいの?
確定申告で医療費控除を受けるには、領収書そのものではなく「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付します。国税庁「令和7年分 確定申告特集|医療費控除を受ける方へ」によると、レシート・領収書1件ごとに次の情報を明細書に整理して記入します。
| 記入項目 | 書き方 |
|---|---|
| 医療を受けた方の氏名 | 本人か家族かを区別して記入 |
| 病院・薬局などの支払先の名称 | 医療機関名・薬局名 |
| 医療費の区分 | 「診療・治療」「医薬品購入」「介護保険サービス」「その他」の4つから選ぶ |
| 支払った医療費の額 | 「同じ人×同じ支払先×同じ区分」なら年間合計を1行にまとめてOK |
| 保険金などで補填される金額 | 生命保険の入院給付金、高額療養費などを差し引く |
領収書そのものの提出は不要ですが、申告内容の確認のため自宅で5年間の保存義務があります。税務署から提示を求められたときのために、まとめておく習慣は変わらず必要です。
レシートの枚数が多い方は、国税庁が配布している「医療費集計フォーム」(表計算ソフト用の入力フォーマット)を使うと便利です。ここに入力・保存したデータは、確定申告書等作成コーナーの医療費控除の入力画面にそのまま読み込んで反映できます。
マイナポータル連携で、入力がグッとラクになる仕組み
マイナポータルと連携すると、健康保険組合や協会けんぽが発行する「医療費通知情報」をマイナポータル経由で取得し、確定申告書等作成コーナーの該当項目に自動で入力できます(国税庁「マイナポータルと連携した所得税確定申告手続」)。1件ずつレシートを見ながら入力する手間や、転記ミスを大幅に減らせます。
📅 事前準備からデータ取得までの流れ
マイナンバーカード読取
家族分を含める場合
医療費通知情報を取得
連携して自動入力
事前準備として必要なのは、マイナンバーカードと2種類のパスワード(利用者証明用電子証明書=数字4桁、署名用電子証明書=英数字6〜16文字)、そしてマイナンバーカード読み取りに対応したスマートフォンです。確定申告書等作成コーナーで提出方法を選ぶ際に「マイナンバーカード方式」+「マイナポータル連携する」を選択し、マイナンバーカードで認証すると、取得済みの医療費データが自動で入力されます。
連携しても「手入力が必要な費用」に注意
マイナポータル連携は便利ですが、「医療費に関わる支出がすべて自動で拾われる」わけではありません。国税庁のマイナポータル連携特設ページには、保険診療分であってもはり・きゅう等の施術費用や整骨院・接骨院の柔道整復療養費などは取得できない情報があると明記されています(国税庁「マイナポータルと連携した所得税確定申告手続」)。こうした費用は自分で明細書に手入力する必要があります。
通院にかかる交通費も、公共交通機関の運賃であれば対象になりますが、これも自動取得の対象外です。国税庁の質疑応答事例「患者の世話のための家族の交通費」では、子どもの通院に親が付き添う場合のように、患者を一人で通院させることが危険なケースでは、患者本人の交通費に加えて付添人の交通費も医療費控除の対象になるとされています。一方で、入院している子どもの世話のために親が通院している場合は、子ども自身が通院していないため、その親の交通費は対象外です。
| ケース | 対象になるか |
|---|---|
| 通院の電車・バス代(公共交通機関) | 対象 |
| 一人で通院させるのが危険な子の通院に付き添う親の交通費 | 対象 |
| 入院中の子の世話のために親が通院する際の交通費 | 対象外 |
| 自家用車のガソリン代・駐車場代 | 対象外 |
⚠️ 迷ったときの目安
マイナポータル連携で自動入力された内容を確認したうえで、交通費やはり・きゅう等の施術費のように自分で領収書を管理しているものがあれば、申告書作成画面で追加入力しましょう。「連携したから安心」と内容確認を省略しないことが、申告漏れを防ぐポイントです。
2026年、紙の「医療費のお知らせ」がなくなります
これまで医療費控除の明細書作成を手助けしてくれていた、健康保険組合や協会けんぽから届く紙の「医療費のお知らせ」。協会けんぽ(全国健康保険協会)は、マイナポータル等のデジタル化の推進に伴い、令和8年(2026年)1月送付分の送付を最後に、紙の「医療費のお知らせ」の発送を終了すると案内しています。以降は、マイナポータルでの確認に一本化されます。
📅 最後の紙通知で見落としやすいポイント
紙通知の最後の発送
〜令和7年8月診療分
は紙通知に載らない
つまり、令和7年(2025年)分の確定申告をする際、9月から12月までの診療分は最後の紙通知に含まれません。この期間分は、医療機関等の領収書をもとに自分で明細書に記入するか、マイナポータル連携で取得できる情報を確認する必要があります。
令和8年分(2026年分)以降は紙の通知そのものがなくなるため、マイナポータルで1月から12月までの1年分の医療費通知情報を取得する流れに完全に切り替わります。今のうちにマイナンバーカードの保険証利用登録とマイナポータルの利用者登録を済ませておくと、申告期間の直前になって慌てずに済みます。
✅ この記事のポイント
- 明細書は「氏名・支払先・区分(4種)・金額・補填額」の5項目を1件ごとに整理して記入する
- マイナポータル連携なら医療費通知情報が自動入力されるが、はり・きゅう等の施術費や交通費は手入力が必要
- 協会けんぽの紙の「医療費のお知らせ」は令和8年1月送付分で終了。令和7年9〜12月診療分は要注意
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まとめ:仕組みが変わる年こそ、早めの準備を
医療費控除の明細書は、記入項目さえ押さえてしまえば決して難しいものではありません。そこにマイナポータル連携を組み合わせれば、入力の手間は大きく減らせます。ただし「連携すれば全部自動」ではなく、交通費や施術費のように自分で拾わなければならない費用があること、そして2026年からは紙の通知そのものがなくなることは、しっかり押さえておきたいポイントです。税務のルールは、自分で学ばないとだれも教えてくれません。このブログをきっかけに、少しずつ知識を積み重ねていただけたら嬉しいです。


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