住宅ローン控除、2026年から変わる|5年延長と新ルール
【この記事でわかること】
・住宅ローン控除の適用期限が2026年改正でどう延びたか
・新築・中古(既存)住宅それぞれの借入限度額はいくらか
・控除率・控除期間の仕組みと、確定申告の流れ
「住宅ローン控除、2026年からルールが変わるらしいけど、結局いくら得するの?」——マイホーム購入を考え始めた人ほど、こう感じているのではないでしょうか。住宅の性能区分や世帯構成によって借入限度額が細かく分かれているため、正直に言うと制度の全体像はかなり複雑です。
私は元国税局の評価専門官として、路線価の評定など不動産の税務評価に携わってきました。今回の令和8年度(2026年度)税制改正は、住宅ローン控除の適用期限を延ばしつつ、中古住宅(既存住宅)の優遇を大きく拡充したのが特徴です。財務省・国土交通省の一次資料をもとに、ポイントを整理してお伝えします。
🏠 住宅ローン控除ってそもそも何?
📖 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは
償還期間10年以上の住宅ローンを組んでマイホームを新築・取得・リフォームし、一定の条件を満たして居住した場合に、年末のローン残高に応じた金額が所得税・住民税から控除される制度です。控除を受けるには、入居した翌年に確定申告が必要です(会社員は2年目以降、年末調整で継続できます)。
今回の改正でまず押さえておきたいのは、適用期限(入居期限)が5年延長されたことです。
| 区分 | 適用期限(入居期限) |
|---|---|
| 改正前 | 令和7年12月31日まで |
| 改正後 | 令和12年(2030年)12月31日まで |
出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」住宅・土地税制/国土交通省「住宅ローン減税」改正のポイント
🏗️ 【新築住宅】借入限度額は住宅の性能で変わる
新築住宅(買取再販住宅を含む)の借入限度額は、省エネ性能の区分と、子育て世帯等(特例対象個人)かどうかで下表のように分かれます。
| 住宅の区分 | 一般世帯 | 子育て世帯等 |
|---|---|---|
| 認定住宅(長期優良・低炭素) | 4,500万円 | 5,000万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 |
| 省エネ基準適合住宅(令和8・9年入居) | 2,000万円 | 3,000万円 |
| その他の住宅(省エネ基準不適合) | 原則、控除の対象外 | |
出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」第二 住宅・土地税制(住宅借入金等特別控除の改正)
⚠️ 「その他の住宅」は原則対象外
省エネ基準を満たさない新築住宅は、2024年以降の入居分からすでに控除の対象外です。ただし、2023年末までに建築確認・登記が確認できる家屋に令和12年末までに入居する場合は、経過措置として借入限度額2,000万円・控除期間10年が適用されます(該当するかは登記事項証明書等で個別に確認が必要です)。
子育て世帯等(特例対象個人)とは、財務省の大綱によると「年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者、又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者」を指します。夫婦どちらかが40歳未満、または19歳未満の子どもがいる世帯なら該当する可能性が高い、と考えるとイメージしやすいでしょう。
🏡 【中古住宅】が今回いちばん手厚くなった
今回の改正で特に拡充されたのが、既存住宅(中古住宅)の優遇です。元評価専門官の立場から見ても、中古住宅市場の活性化と省エネ化を後押しする狙いがはっきり出ている改正だと感じます。
| 住宅の区分 | 一般世帯 | 子育て世帯等 |
|---|---|---|
| 認定住宅(長期優良・低炭素) | 3,500万円 | 4,500万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 |
| その他の住宅(省エネ基準不適合) | 2,000万円 | |
出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」第二 住宅・土地税制
特に注目したいのは控除期間です。省エネ性能の高い既存住宅(認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合)は、控除期間が延びました。
| 区分 | 控除期間 |
|---|---|
| 改正前(一律) | 10年/借入限度額は性能を問わず一律3,000万円 |
| 改正後(省エネ性能の高い既存住宅) | 13年/限度額も上表のとおり引き上げ |
また、子育て世帯等への借入限度額の上乗せは、これまで新築住宅だけの措置でしたが、今回から中古住宅の取得にも新たに適用されるようになりました。床面積の要件も、原則50㎡以上から40㎡以上に緩和されています(合計所得金額が1,000万円を超える年は対象外。子育て世帯等の上乗せを使う場合は引き続き50㎡以上が必要です)。
📝 控除率・申請方法をおさらい
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除率 | 年末ローン残高の0.7%(住宅の種類にかかわらず一律) |
| 控除期間 | 新築・既存の省エネ性能住宅は13年/その他の既存住宅・増改築は10年 |
| 施行日 | 令和8年(2026年)1月1日以後に居住の用に供した場合から適用 |
出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」/国土交通省「住宅ローン減税」改正のポイント
控除を受けるための申請は、次の流れになります。
- 入居した年の翌年の確定申告期間(2月16日〜3月15日ごろ)に、税務署で1年目の申告を行う
- 必要書類は、住宅ローンの残高証明書・登記事項証明書・売買契約書(請負契約書)など
- 会社員の場合、2年目以降は年末調整で継続でき、確定申告は不要になる
💡 +αの話|引ききれない分は住民税から控除される
住宅ローン控除の控除額が、その年の所得税額より大きい場合は、所得税で引ききれなかった分が翌年度の個人住民税から控除されます。ただし上限があり、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9万7,500円)までです。令和8年から令和12年までに入居した方にも、同じ枠で住民税から控除する措置がとられています。住民税の分について、市区町村へ別に申告する必要はありません。
出典:総務省「個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合があります」/総務省「令和8年度地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての留意事項等について」
この住民税の控除には、実はかつて落とし穴がありました。国税局に勤めていた頃、確定申告の時期によく出会ったのが、「還付申告は期限を過ぎてもできるから」と住宅ローン控除の申告を後回しにしていたケースです。平成30年度分までは、住民税の納税通知書が届くまでに確定申告書を出していないと、所得税で引ききれなかった分を住民税から控除できなかったのです。所得税は戻ってくるのに、住民税の分は取り戻せない。よく勘違いされていたポイントでした。
💡 今はこの落とし穴はありません
平成31年度の税制改正で「納税通知書が届くまでに申告すること」という要件はなくなりました。現在は、納税通知書が届いた後に確定申告書を出しても、住民税から控除されます。昔の知識のまま「期限を過ぎたら住民税の分は損をする」と覚えている方は、情報を更新しておきましょう。
出典:総務省「平成31年度税制改正の大綱」(平成30年12月21日閣議決定)/松山市「住宅ローン控除の市・県民税における申告期限後の取扱いについて」
✅ この記事のポイント
- 適用期限(入居期限)は令和12年(2030年)12月31日まで5年延長
- 借入限度額は住宅の省エネ性能区分・子育て世帯等かどうかで細かく分かれる
- 中古住宅(既存住宅)は控除期間10年→13年・限度額引き上げ・子育て世帯等上乗せの新規適用と、今回いちばん優遇が拡充された
- 控除率は一律0.7%、適用は令和8年1月1日以後の入居分から
- 所得税で引ききれない分は住民税から控除(上限あり)。平成31年度改正以降は、期限を過ぎた申告でも住民税で控除される
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まとめ
令和8年度の税制改正で、住宅ローン控除は「期限の延長」だけでなく「中古住宅の優遇拡充」という大きな変化がありました。新築か中古か、どの省エネ区分に当てはまるかで数百万円単位の差が出るため、購入を検討している物件がどの区分に該当するのか、契約前に必ず確認することをおすすめします。
制度は毎年のように改正されます。自分で学ばないと、だれも教えてくれません。このブログをきっかけに、少しずつ制度を味方につけていただけたら嬉しいです。
次回は、「住宅取得資金の贈与税非課税措置」について解説予定です。お楽しみに!


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