税務知識

生前贈与の「3年→7年」加算ルール|2024年改正をやさしく解説

生前贈与の「3年→7年」加算ルール|2024年改正をやさしく解説
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【この記事でわかること】
・生前贈与の「3年加算」が「7年加算」に延びた理由
・いつの贈与・いつの相続から7年になるのか(経過措置)
・延長された4年分の「100万円控除」のしくみ
・元・国税局係長から見た、これからの贈与の考え方

穏やかな夕暮れの海。生前贈与と相続を落ち着いて考えるイメージ

「元気なうちに、少しずつ子どもへ贈与しておこう」——そう考えている方は多いと思います。ところが2024年(令和6年)の改正で、その生前贈与のルールが大きく変わりました

これまで「亡くなる前3年以内の贈与」は相続財産に戻して相続税を計算していましたが、これが「7年以内」へと延長されたのです。「3年が7年って、4年も延びたの?」と驚いた方のために、元・国税局係長として16年以上税務に携わった筆者が、できるだけわかりやすく解説します。

トラ

「生前贈与加算」が3年から7年に延びたんだ。資産税の現場でも問い合わせが一気に増えた改正だよ。順番に見ていこう!

そもそも「生前贈与加算」とは?

生前贈与加算とは、亡くなった人(被相続人)から生前に贈与を受けていた場合、その贈与財産を相続財産に持ち戻して(加算して)相続税を計算するしくみです。暦年課税(年110万円の基礎控除で贈与税を計算する方式)で贈与を受けた財産が対象になります。

「相続が近づいてから一気に贈与して相続税を減らす」ことを防ぐための制度です。改正前は相続開始前3年以内の贈与が対象でした。

ライオン

え、せっかく贈与したのに相続税の計算に戻されちゃうの?
トラ

そう。でも対象は『相続で財産をもらう人への贈与』が中心。しかも年110万円以内でも、3年(改正後は7年)以内なら持ち戻されるんだ。
海辺を歩く家族。世代を超えた資産の引き継ぎをイメージ

3年から7年へ──2024年改正で何が変わった?

2023年度(令和5年度)税制改正により、生前贈与加算の対象期間が相続開始前3年以内から7年以内へ延長されました。適用されるのは令和6年(2024年)1月1日以後の贈与からです。

項目 改正前 改正後
加算される期間 相続開始前3年以内 相続開始前7年以内
対象となる贈与 令和5年までの贈与 令和6年1月1日以後の贈与
延長4年分の控除 なし 総額100万円まで加算しない

出典:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

ポイントは、延長された4年分(相続開始前3年超〜7年以内)の贈与については、総額100万円まで相続財産に加算しないという控除が設けられたことです。延びた分まるごと課税対象になるわけではありません。

いつの相続から「7年」になる?経過措置を整理

「2024年から7年」と聞くと、すぐに7年フルで加算されるように感じますが、実際は段階的に延びていきます。令和6年1月1日からの贈与を数えていくため、加算期間が一気に7年になるわけではありません。

相続が始まる時期 実際の加算期間
令和8年12月31日まで これまで通り3年以内
令和9年1月1日以後 3年を超えて段階的に延長(100万円控除が関係)
令和13年1月1日以後 はじめて7年フルで加算

出典:国税庁 No.4161に基づき整理

この経過措置を図にすると、次のような「階段」になります。相続がいつ始まるか(=亡くなる時期)によって、さかのぼる年数が段階的に延びていくイメージです。

相続開始の時期と持ち戻し(加算)期間 3年 最長4年 最長5年 最長6年 最長7年 7年フル 〜2026年 (令和8年まで) 2027年 (令和9年) 2028年 (令和10年) 2029年 (令和11年) 2030年 (令和12年) 2031年〜 (令和13年〜) 横軸=相続開始(亡くなった)時期/縦軸=生前贈与をさかのぼる年数 加算対象は2024年1月1日以降の贈与のみのため段階的に延長(国税庁 No.4161に基づき作成)

ポイントは、加算の対象になるのは「2024年(令和6年)1月1日以降の贈与」だけという点です。2027年(令和9年)以降に相続が始まると、さかのぼれる期間が3年を超えて少しずつ延び、2031年(令和13年)1月1日以降の相続で、はじめて「7年フル」の持ち戻しになります。なお、延長された4年分(相続開始前3年超〜7年)の贈与は、合計100万円までは加算されません

ライオン

じゃあ今すぐ全部が7年になるわけじゃないんだね。ちょっと安心したかも。
トラ

そう。完全に7年になるのは令和13年(2031年)以降の相続から。でも『早めに贈与を始めた人ほど有利』という方向性は変わらないよ。
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元・税務署目線で見る、これからの贈与の考え方

国税局・税務署で資産税(相続・贈与)の実務に携わってきた立場から、いくつか気になる点をお伝えします。

まず「相続で財産をもらわない人への贈与」は、原則この加算の対象外です。たとえば孫(代襲相続人や受遺者でない場合)への贈与は、7年加算の対象になりにくいケースがあります。誰に贈与するかで扱いが変わる点は、現場でもよく相談を受けました。

次に相続時精算課税との比較です。2024年から相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が新設され、この110万円分は相続財産に加算されません(国税庁・相続税及び贈与税の税制改正のあらまし)。暦年課税の7年加算と、精算課税の年110万円非加算。どちらが向いているかは、家族構成や財産の状況によって変わります。

税務署にいた頃、「もっと早く知っていれば」と悔しそうにされる相続人の方に何度もお会いしました。贈与は『早く・計画的に』が基本。そして次に財産を引き継ぐ人のことを考えて、元気なうちから準備しておくことが、結果的に家族の負担を減らします。

ライオン

どっちの制度がいいかは、家庭ごとに違うんだね。
トラ

その通り。数字だけで決めず、誰に・何を・いつ渡したいかから考えるのが大事だよ。

✅ この記事のポイント

  • 暦年課税の生前贈与加算が「相続開始前3年→7年」に延長(令和6年1月1日以後の贈与から)
  • 延長された4年分の贈与は、総額100万円まで相続財産に加算しない
  • 7年フルで加算されるのは令和13年(2031年)1月1日以後の相続から(段階的に延長)
  • 贈与は「早く・計画的に」が基本。相続時精算課税の年110万円非加算との比較も大切

まとめ:贈与は「早く・計画的に」が新ルールの時代

生前贈与加算が7年に延びたことで、「相続が近づいてから慌てて贈与する」効果は薄くなりました。逆にいえば、早くから計画的に贈与していく人ほど有利という方向性がより鮮明になったということです。

「知らなかった」では損をするのが税務の世界です。このブログをきっかけに、ご家族で一度、財産の引き継ぎ方を話し合ってみてください。

次回予告
次回は「暦年課税と相続時精算課税の違い|2024年改正後に知っておきたい比較ポイント」について解説予定です。今回ふれた2つの制度の仕組みと、判断する際に確認しておきたい一般的なポイントを整理します。お楽しみに!

ライオン

さっそく親と贈与の話、してみようかな。
トラ

いいね!早く動くほど選べる手が増えるよ。一緒に学んでいこう。
ライオントラ

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みるきー
みるきー
≫脱≪安定を求めし者
税務署・国税局に通算16年超勤務し、税務調査担当係長等を歴任。相続・贈与・譲渡といった資産税の実務にも精通。現在は民間企業へのキャリアチェンジも経験し、信託関係の事務に従事しています。「お金のことって、自分で学ばないと誰も教えてくれない」——そんな実感から、このブログを始めました。3人の子育てを経験しながら、育休も3回取得。転職・税金・子育てという、30代・40代がリアルに向き合うテーマを、むずかしい言葉を使わず、スキマ時間で読めるブログとしてお届けしています。【保有資格】1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)/宅地建物取引士/一種外務員資格/家族信託専門士
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